健康教室バックナンバー

平成26年11月20日(木)~21日(金)、直営保養所「TJK箱根の森」において、第112回健康教室を開催しました。
今回は宿泊型で、1日目は(株)TNヘルスプロジェクト代表取締役の永田孝行氏を講師にお招きし、「今、企業に求められていること ~社員の健康管理~」についてご講演いただきました。
2日目はTJKの保健師、管理栄養士により、1日目の永田氏の講演を受けて、具体的な健診結果の見方や健診結果を活用した生活習慣病予防について実践的な講演を行いました。その様子をレポートします。

第二部

「生活習慣を見直して、動脈硬化を予防しよう」

講師 高木有子(TJK東中野保健センター 管理栄養士)

後半は、TJKの管理栄養士により、生活習慣病を予防するために日常生活で気をつけるべきポイントについて、講演が行われました。

肥満を解消する

肥満は、さまざまな病気のリスクを高める要因となります。とくに、内臓周りの脂肪が増えると、脂質異常症や糖尿病、高血圧などを発症しやすくなります。

<肥満解消のポイント>

  1. 欠食・まとめ食い・早食いをしない
    欠食やまとめ食いをすると、体脂肪が増えやすくなる。また、早食いは食べすぎにつながりやすい。
  2. 夕食は遅くなったら軽めにする
    夜は体脂肪を蓄積しやすいので、できるだけ早めに食べる。遅くなる場合は、夕方におにぎりなどの軽食を食べ、帰宅後は野菜中心に軽めの食事をする。
  3. お菓子やジュースなどの間食は控える
    糖分や脂肪分のとりすぎは、体脂肪の蓄積につながる。とくに、夕食後に食べるのはやめる。
  4. 主食・主菜・副菜の揃ったバランスのよい食事
    単品ダイエットは、栄養バランスを乱し、体調を崩す原因になるので厳禁。
  5. お酒は控えめに。飲むときは高カロリーのおかずは食べない
    ビール500mlは、ご飯茶碗1杯のカロリーに相当する。お酒を飲むときは揚げ物や脂肪の多い肉料理などは避ける。
  6. 運動習慣をつける
    定期的な運動は、余分な体脂肪を減らし、基礎代謝の高い太りにくい体をつくる。
  7. 食事を減らすだけのダイエットはやめる
    体を動かさずに、食事だけを減らすと、脂肪だけでなく筋肉や骨を減らすことにつながる。
  8. ストレスを上手に解消
    ストレスがたまると過食につながることがある。

高血圧を予防する

高血圧は、循環器系の病気の大きな危険因子となります。血圧が高いと、動脈硬化が進行して血管がつまり、脳卒中や狭心症、心筋梗塞などを招くことになります。

<高血圧予防のポイント>

  1. 肥満を解消する
    減量するだけでも、血圧を下げることができる。
  2. 減塩する
    だしの風味や食材の香り、酸味を生かすなど、調理法を工夫して、塩分を控える。汁ものは1日1杯までにし、麺類は汁を残す。チャーハンや丼物など、主食に味のついたメニューはできるだけ控える。漬け物や佃煮などは塩分が高いので、食べる回数や量を減らす。食卓に塩や醤油を置かない。
  3. 野菜を積極的に食べる
    野菜に豊富に含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排泄し、血圧を下げる働きがある。果物もカリウムが豊富なのでおすすめだが、糖質が多いので、太り気味の人は食べすぎに注意する。
  4. 適度な運動をする
    運動も血圧を下げる効果がある。ただし、血圧の高い人は激しい運動は避ける。
  5. お酒は適量を守る
    お酒の飲みすぎは、高血圧につながる。日本酒は1合、ビールは中びん1本までにし、週に2日は休肝日をつくる。
  6. 禁煙する
    喫煙は、動脈硬化を進行させるので、要注意。

糖尿病を予防する

糖尿病は、脳梗塞や脂質異常症、心筋梗塞、糖尿病性網膜症、末梢神経障害など、さまざまな合併症を引き起こすので、早めに予防に努めることが肝心です。

<糖尿病予防のポイント>

  1. 1日3回、バランスよく食べる
    不規則な食生活は、血糖のコントロールを乱す原因となる。1日3回、できるだけ規則正しい時間に食事をとるようにする。
  2. 野菜、海藻、きのこ類を積極的に食べる
    これらの食材に含まれる食物繊維には、血糖の上昇を緩やかにする働きがある。
  3. まとめ食いをしない
    一度にたくさんの量を食べると、血糖値を急激に上げてしまう。
  4. お菓子や甘い飲み物をとりすぎない
    間食の量や回数が多いと、カロリーオーバーにつながる。飲み物に含まれる糖質は、吸収が速く、血糖値を急激に上げやすいので、できるだけ避ける。
  5. お酒は適量を守る
    禁酒するだけで、血糖のコントロールが改善されるともいわれている。適量を守り、週に2日は休肝日をつくる。
  6. 運動習慣をつける
    肥満を解消するだけでなく、全身の細胞のインスリン感受性を高める効果もある。
  7. 定期的に健診を受ける
    糖尿病は、自覚症状がないまま進行するため、年1回は必ず健診を受けることが大切。

血液をサラサラにする

脂質異常症とは、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が過剰になったり、HDL(善玉)コレステロールが少なくなったりした状態をいいます。脂質異常症を放置してしまうと、動脈硬化が進行し、様々な病気のリスクを高めてしまいます。

<血液をサラサラにするポイント>

  1. 肥満を解消する
    体重が増えると、コレステロールや中性脂肪も高くなるので、適正体重を維持することが大切。
  2. こまめに運動する
    こまめに体を動かすことで、中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果が期待できる
  3. 食事はバランスよく
    主食・主菜・副菜の揃ったバランスのよい食事を心がける。脂肪の多い肉は控えめにし、卵は1日1個までにする。
  4. 魚や大豆製品を食べる
    青魚に含まれる脂肪は、コレステロールや中性脂肪を下げる働きがある。大豆製品を食べるときは、肉や魚などほかのたんぱく質は控えめにする。
  5. 野菜や海藻を積極的にとる
    食物繊維がコレステロールの吸収を抑え、抗酸化物質がコレステロールの酸化を防ぐ。
  6. 菓子類は控える
    砂糖は中性脂肪を、動物性脂肪はコレステロールを増やす原因になるので、甘いお菓子、バターや生クリームがたっぷりの洋菓子、スナック菓子などは控える。
  7. 甘い飲み物は控える
    果物の糖分も中性脂肪を増やすので、果汁飲料も飲みすぎないように注意する。
  8. お酒は控えめに
    お酒の飲みすぎは、血圧や中性脂肪を上昇させる原因になる。また、アルコールは食欲増進作用があるため、食べすぎにもつながりやすい。
  9. 禁煙する
    たばこは、LDL(悪玉)コレステロールを酸化させるだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを減少させる原因になる。

食事は、主食、主菜、副菜が揃った食事を1日3食、規則正しくとるのが理想です。これに加えて、1日1回、牛乳・乳製品、果物をとれば、とてもバランスのよい食事になります。
 どれくらい食べるのが適量かは、性別や年齢、活動量などによって異なります。以下は、身体生活レベルがふつうの人の場合の目安量になるので、参考にしてください。

  1日の目安量(kcal) 1食の目安量(kcal) *注
  男性 女性 男性 女性
18~29歳 2,650 1,950 880 650
30~49歳 2,650 2,000 880 665
50~69歳 2,450 1,950 815 650
70歳以上 2,200 1,700 730 565

※「日本人の食事摂取基準(2010年版)身体生活レベル(ふつう)Ⅱ」で示しています
*注:1日の目安量を3食で割ったエネルギーです。1食の目安量として覚えましょう。

ご飯とおかずのエネルギーのバランスは、1:1になるように食べるのが理想です。たとえば、1食の目安量が800kcalの人であれば、ご飯とおかずをそれぞれ400kcalずつ食べればよいということです。
1食のご飯の量は、男性は約250g、女性は約200gが目安です。主菜となるたんぱく質は、片手にのるくらいの量が適量です。肉や魚は、男性は80g、女性は70g程度。豆腐なら1/2丁、卵なら1個程度です。ただし、肉や魚は、部位や種類によって脂質の量がかなり違うので、脂肪の多い肉や魚は食べすぎに注意します。
野菜は、1日に350g以上とるのが目標で、内訳としては、淡色野菜を230g、緑黄色野菜を120gとるのが理想です。野菜料理は、1食につき少なくとも1皿、できれば2皿以上食べることを心がけましょう。
野菜は、ちょっとした工夫をすることで手軽に食べられるようになります。たとえば、煮物や野菜スープは作り置きして冷凍保存しておく、電子レンジで加熱する、市販の冷凍野菜を使う、などがおすすめです。
油は、とりすぎるとエネルギーオーバーになるので、油を使った料理は1食につき1皿までにします。

外食メニューの賢い選び方

外食は、全般的にエネルギーが高めで、脂肪分や塩分が多く、野菜が不足しがちです。そのため、1日1回までにとどめるのが理想です。少しでもヘルシーに外食を楽しむために、選び方のコツを覚えておきましょう。

<外食メニューを選ぶときのポイント>

  • 肉料理より魚料理を選ぶ
  • 野菜料理を1品プラスする
  • カツ丼や天丼など揚げ物がのった丼ものはできるだけ控える
  • 丼ものはご飯が多めなので、少なめにしてもらうか、少し残す
  • パスタはクリーム系のソースではなく、塩や醤油ベース、トマトソースを選ぶ
  • ラーメン+チャーハン、うどん+おにぎりなど炭水化物が重なるメニューは避ける
  • 麺類はスープを残す

飲酒量をコントロールする

お酒の飲みすぎは、エネルギーオーバーになるだけでなく、肝臓をはじめ、体にも大きな負担を与えます。多量飲酒を長期間続けると、高血圧になりやすいこともわかっています。次のような工夫をして、節度ある飲酒を心がけましょう。

<お酒の飲みすぎを防ぐコツ>

  • 週に2日、休肝日をつくる
  • 食べながら飲む
  • 飲酒した日と量をチェックする
  • グラスを小さくする
  • お酒以外のリラックス法を見つける

間食の食べすぎを防ぐ

間食の食べすぎは、エネルギーや糖質の過剰摂取につながるだけでなく、栄養バランスが乱れ、体調不良を招きます。買い方や食べ方を工夫し、食べる量と時間に気をつけることが大切です。

<間食の食べすぎを防ぐコツ>

  • 小包装のものを選ぶ
  • その日に食べる分だけ購入し、買い置きをしない
  • お腹がいっぱいのときに買い物に行く
  • 場所や時間を決め、リラックスした気分で食べる
  • 食後3時間ほど空けてから食べる
  • 1日200kcal以内に抑える
  • 脂肪の多い洋菓子やスナック菓子は控え、和菓子を選ぶ
  • 果物や乳製品、芋などを食べる
  • 夕方以降は食べない

日々の生活のなかでぜひ心がけていただきたいことを10カ条にまとめました。このなかから、どれか1つだけでもよいので、無理なくできそうなことから実践してみてください。

<生活習慣10カ条>

  1. 体重を測り、増減をチェックする
  2. 1日3食食べて、間食・夜食は控える
  3. 食事は腹八分、遅い夕食は腹六分
  4. 嗜好品はゆっくりと、ほどほどに
  5. 1日350g以上の野菜を、毎食でとる
  6. 塩分を控える
  7. 油脂、特に動物性脂肪は控える
  8. 禁煙する
  9. よく動き、よく眠る
  10. ストレスを溜めない

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