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平成25年7月23日、TJKプラザにおいて、第108回健康教室を開催しました。今回は、「日常ながら運動」のパイオニアである長野茂氏を講師にお招きし、日常生活のなかで無理なく、手軽に実践できる「日常ながら運動」をご紹介いただきました。その様子をレポートします。

●講師 長野 茂 氏(株式会社フィットビジネス研究所 代表取締役)

1973年早稲田大学第一文学部卒業後、ソニー企業株式会社入社、海外事業開発を務める。日本に米国のフィットネス事業のシステムを導入し、スポーツ・フィットネスクラブの基礎を確立。エアロビクス・フィットネスマシーン・テーピングなども普及させ、フィットネス事業界の理論的指導者として知られている。
日本テレビの『ミラクルシェイプ』『おもいっきりテレビ』、TBSの『はなまるマーケット』、に出演したほか、『プレジデント』『日経ビジネス』での特集記事、取材、連載の他、『アクエリアス・アクティブダイエット』の商品コンセプトを『日常ながら運動・歩くだけでいいんだ』としたセールスプロモーションを展開するなど各種メディアでも活動中。

日常ながら運動推進協会 http://www.dumbbellers.net/nagara/

心身の健康づくりには適度な運動が大事であり、なおかつ、継続的に行わなければ効果が出ない、ということは多くの人が理解しています。にもかかわらず、大半の人が運動を習慣化できずに悩んでいるのは、従来のやり方や運動の勧め方が間違っていた、ということのあらわれでしょう。
 これを解消するには、運動に対する考え方そのものを見直す必要があります。日常生活のなかで運動不足になったのならば、仕事や家事など、ふだんどおりの生活をしながら、無理なく健康を取り戻すのが一番自然なことです。そんな発想から生まれたのが、「日常ながら運動」なのです。
日常ながら運動とは、仕事・家事・移動中などの「日常生活活動(Activity)」の一つひとつを見直し、意識して健康づくり、ダイエットに「効果的な運動(Exercise)」に変えることが基本となっています。特別な時間を割く必要もなければ、なんの制限や負担もなく、ストレスにもならないので、無理なくずっと続けることができる。その結果、運動不足を解消するだけでなく、体力の維持、肥満・メタボ・生活習慣病の予防、ストレス解消、脳の活性化など、さまざまなメリットをもたらしてくれるのが、日常ながら運動なのです。

日常ながら運動を始める前に、現在の日常生活状況を見直してみましょう。以下の項目のなかで、あてはまるものにチェックしてみてください。

<運動不足と日常生活活動チェック>

 姿勢が悪い
 ゆっくり歩く、スリ足で歩く
 2階、3階へ行くときでもエスカレーターやエレベーターを利用する
 1日合計30分以上歩くことはあまりない
 電車・バスで空席を見つけると必ず座る
 歩いて10分以内の移動でも、車・バス・タクシーをよく利用する
 仕事はデスクワークがほとんど(家にいるときはほとんど座っている)
 ふだんから(または休日は)テレビを1日5時間以上観る
 1日中メールのやり取りをしている、または暇があるとネットを利用している
 家事は苦手、またはさぼりがち

チェック数:

<判定>
あてはまる項目が1~3個 : 該当する項目を意識して改善しましょう。
あてはまる項目が4~6個 : 健康的な人生を選ぶか、肥満で不健康な人生を選ぶかの分かれ道です。
あてはまる項目が7個以上 : 完全に運動不足の生活です。このままの生活を続けると生活習慣病の危険性が高まります。

日常ながら運動の3大法則

健康維持のためには運動が必要だということは、科学的にも証明されています。
宇宙飛行士は、アスリート並みの体力を持っています。そんな彼らですら、地球へ帰ってきてから日常生活を送れるようになるまでには、数ヵ月間のリハビリが必要です。このことからも、運動不足がいかに健康を阻害するかがよくわかります。
健康づくりのための運動は、少しずつでもいいので、長く続けることが重要です。それを可能にするのが、日常ながら運動です。そのポイントは、以下の3つです。

  1. 時間をかけない
    日常ながら運動は、仕事・家事・生活活動に100%重ね合わせて行うので、運動のための特別な時間を割く必要はありません。日常生活で行っている活動を、ちょっとした工夫で効果的な運動に変える、そのコツさえ覚えればOKです。
  2. きつい運動をしない
    特別なことを行うのではなく、日常生活活動の積み重ねにより、確実に運動量を増やしていきます。そのため、きつい運動を行ったあとのように、体がだるくなったり、動きが鈍くなったりといった反動がおこる心配もありません。
  3. ストレスをかけない
    日常ながら運動は、仕事や家事の合間、通勤途中、外出先などで、思い立ったときにいつでも、どこでも、すぐにできます。そのため、人の目を気にする必要もなく、やらなければならないという強迫観念に襲われることもありません。

では、代表的な日常ながら運動を具体的にご紹介しましょう。

(1)お腹引き締め-1:イス腹筋・上体後ろ倒し

  1. イスに浅く座り、お腹に力を入れる。
  2. 背中をやや丸めながら後ろに倒し、背もたれより1cmほど手前のところで止まる。
  3. その姿勢を10秒間キープし、ゆっくり元の姿勢に戻る。
    注)背中を伸ばしたままだと腰を痛めるので、軽く丸めた状態で行うこと。

(2)お腹引き締め-2:イス腹筋・足上げ

  1. イスに浅く座り、両手をイスの脇に添える。
  2. 上体をやや後ろに倒し、お腹に力を入れる。
  3. ひざを胸に近づけるようにして、足を持ち上げ、数秒間キープする。

※脚を組んだ状態で行ってもよい。

(3)お腹引き締め-3:イス腹筋・上体ねじり

  1. イスに浅く座る。
  2. 下半身は動かさず、上体だけを90度ねじり、数秒間キープする。逆側も同様に行う。
    ※脇腹をすっきりさせると同時に、腰痛の解消にもなる。

(4)足腰を鍛える-1:足の前押し・後ろ押し

  1. イスに座り、右足の甲を左足のアキレス腱のあたりにあてる。
  2. 左足は動かさず、右足は前方に向けて力を入れ、10秒間キープする。
  3. 軸足を変えて、同様に行う。

(5)足腰を鍛える-2:立ち居・空気イス運動

  1. イスから立ち上がる途中、腰を浮かせた状態で4秒間キープしてから、立ち上がる。
  2. イスに座るときも、中腰の状態で4秒間キープしてから、座る。

※中腰の状態で、体を上下にバウンドさせると、さらに負荷が大きくなる。

(6)家事ながら運動:洗濯物干しスクワット

  1. 片足を半歩前へ出し、しっかり腰を落としてしゃがみ、洗濯物をとる。
  2. 立ち上がって、洗濯物を干す。1.2.の動作を繰り返す。
    ※上体だけを曲げる姿勢は、腰痛の原因になる。しっかり腰を落としてしゃがむことが大切。

(7)上腕を鍛える:両腕クロス運動

  1. 両手でこぶしをつくり、胸の前で手首をクロスさせる。
  2. 互いの手首を押し合うように力を入れる。
  3. 組み方を逆にして、同様に行う。

(8)胸部を鍛える

  1. イスに座り、足を肩幅に開く。
  2. ひざの外側に手をあて、内方向へ向けて力を入れる。ひざはそれに逆らうように、外方向へ向けて力を入れ、数秒間キープする。

(9)頭スッキリ健脳運動-1:グー・チョキ・パー切り替え

  1. 肩の高さに両手を上げる。
  2. 片手は「グー」、逆側の手は「パー」にし、左右交互に切り替える。
  3. 数回くり返したら、「パー・チョキ」「チョキ・グー」の組み合わせでも同様に行う。

(10)頭スッキリ健脳運動-2:トントンスリスリ運動

  1. イスに座り、片手はももの上を前後にこすり、逆側の手はこぶしでたたく。
  2. 途中で左右の動きを切り替えながら、何度か繰り返す。

日常ながら運動を生活に取り入れる5つのコツ

次の5つのコツを頭に入れておくと、日常ながら運動を毎日の生活習慣にスムーズに取り入れることができます。

  1. まず姿勢をよくする
    「座る」「立つ」「歩く」といった日常の動作のなかで、姿勢をよくすることを意識しましょう。お腹をへこませ、背筋を伸ばす姿勢を保つだけでも、お腹、背中、おしり、首すじの引き締め運動になります。
  2. しゃがんで立ち上がる
    「しゃがんで立ち上がる」という動作は、スクワットと同様に、下半身の大きな筋肉を鍛えることができます。床の物を拾うとき、片づけるとき、意識してひざをしっかり曲げてしゃがみ、立ち上がりましょう。
  3. やりやすい日常ながら運動から始める
    まずは、自分の生活状況に合う日常ながら運動から始めましょう。家事をしながら、通勤電車に乗りながらなど、ふだんの生活に無理なく取り入れられるものから始めることで、自然と運動習慣が身につきます。
  4. 慣れたら種類を増やしていく
    ある程度慣れてきたら、日常ながら運動の種類を増やしてみましょう。バリエーションが増えると、飽きずに続けられ、やる気も出てきます。
  5. 疲れるまでがんばらない
    疲労が蓄積しない程度の運動量にとどめることで、翌日に疲れを残すことがなく、毎日継続して行うことができます。1日のなかで何度にも分けて気長に行うだけでも、合計すると十分な運動量になります。

最後の最後までハッピーな人生を送るためにも、ぜひ今日から実践してみてください。

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