平成23年10月27日(木)~28日(金)、直営保養所「TJKリゾート金谷城」において、第103回健康教室を開催しました。今回は宿泊型健康教室で、1日目は第一部としてヨガインストラクターの小林愛氏を講師にお招きし、ヨガについての講演に加え、いつでも手軽にできるヨガを教えていただきました。2日目は第二部として、TJK保健師および管理栄養士による講義が行われました。その様子をレポートします。

第二部 「コンビニ活用術 ~賢く選んで健康に~」

1日に必要なエネルギー量を知る

●講師 TJK管理栄養士 久富恵子
●講師 TJK管理栄養士 久富恵子

お弁当からお惣菜、スープにいたるまで、コンビニには実に種類豊富な食品が並んでいます。これらを上手に活用して、健康に過ごしていただくためのコツをご紹介したいと思います。

コンビニを活用するうえで、
(1)1食、何カロリーくらいを目安にしたらよいのかを考える
(2)栄養のバランスを考える
この二つが主な注意点となります。

まず、自分にとって1日に必要なエネルギー量を知ることが大切です。1日に必要なエネルギー量は性別、年齢、身体活動レベルによって異なりますので、次の計算式にしたがって計算してみましょう。

1日に必要なエネルギー量(kcal)=標準体重(kg)×基礎代謝基準値×身体活動レベル
※標準体重の計算式や基礎代謝基準値、身体活動レベルについては下記ページをご覧ください。

CHECK!

1日に必要なエネルギー量を知ろう

例)Aさん・男性の場合
42歳/身長168cm/体重74kg/デスクワーク
標準体重(kg):62.1×基礎代謝基準値:22.3×身体活動レベル:1.5=2,077kcal

1日に必要なエネルギー量を、3食に分けてとるのがベストです。なぜなら、1回の食事量が多いほど、体重は増えやすくなるからです。Aさんの場合、2,077kcal÷3=692kcalが1食の理想カロリーとなります。
 ただし、筋肉量などによっても必要なエネルギー量は変わってくるので、これはあくまでも目安と思ってください。

コンビニで買い物をする際には、必ずカロリー表示を確認するようにしてください。そして、自分の1食の理想カロリーを頭に入れながら、上手に選ぶことが大切です。
加えて、栄養バランスにも注意しましょう。炭水化物、たんぱく質、油脂、ビタミンといった栄養素をバランスよくとることが理想です。
炭水化物やたんぱく質、油脂をとりすぎると、体重増加、メタボ、生活習慣病などを招きます。たんぱく質のとりすぎは尿酸に影響しますし、逆に不足すると筋肉が落ちてやせづらくなるだけでなく、骨がもろくなったり、貧血になったりします。炭水化物をまったくとらないと、エネルギー不足で体調不良を招きます。
 また、脂は悪の代名詞のようにいわれますが、まったくとらないと脂溶性ビタミンの吸収が悪くなったり、大腸の通りが悪くなって便秘の原因になったりします。

必要な栄養素を、過不足なく、バランスよくとれる理想の食事とは、主食、主菜、副菜がそろった食事です。これに加えて、乳製品と果物をそれぞれ1日1回とると、さらにバランスはよくなります。

主 食 ご飯、パン、麺類
<炭水化物の供給源、エネルギー源、体の各機能を調整する>
主 菜 肉、魚、卵、豆腐、納豆、肉加工品(ソーセージなど)、魚加工品(はんぺん、ちくわなど)
<たんぱく質・脂質・ビタミンBなどの供給源、筋肉や血液などを作る、エネルギー源>
副 菜 野菜、イモ、海藻類、きのこ類
<ビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源、体の調子を整える、皮膚や粘膜の保護>
乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズ
<カルシウム・たんぱく質の供給源、骨や歯を作る、体の各機能を調整する)>
果 物 りんご、みかん、柿、バナナなど果物類全般
<ビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源、体の調子を整える>

コンビニでも、できるだけこの理想の食事に近づけるよう、主食、主菜、副菜がそろうような組み合わせを選ぶことがポイントです。
 ここで、特に注意したいのが油脂です。油脂の1日の適量は油で大さじ1~2杯。とんかつなら1枚、マヨネーズなら大さじ1~2杯がこれに相当します。せっかく主食、主菜、副菜のそろったメニューを選んでも、油脂をとりすぎればカロリーオーバーになってしまいます。揚げ物やマヨネーズを使ったメニューを選ぶときは、十分注意しましょう。

コンビニのおにぎりは手軽にとれる主食ですが、何と組み合わせるかが重要です。
 たとえば、ダイエット中だからと、お昼はおにぎり1個ですませたとします。たしかに、大半のおにぎりは200カロリー前後なので、カロリー的には低いです。でも、1食の量としては不十分なので、間食をしたり、夕飯を食べすぎてしまったりする可能性が高くなりますし、栄養的にも偏ってしまいます。
 よくあるケースが、おにぎり+カップラーメン、おにぎり+菓子パンという組み合わせ。カロリー的にはそれほど高くなくても、炭水化物ばかりの食事は、脂肪になりやすいのです。こういう食事もたまにはやむを得ないかもしれませんが、何日も続けることは避けましょう。

おにぎりには野菜とたんぱく質をプラス

では、おにぎりを主食にした場合、どんなものを組み合わせたらよいのでしょうか?

例(1):おにぎり2個 + おでん(卵、大根、厚揚げ、こんにゃく) + サラダ
例(2):おにぎり2個 + 豚しゃぶサラダ+野菜ジュース

このような組み合わせなら、たんぱく質や野菜もとれるのでおすすめです。
 ただし、サラダで気をつけなければいけないのが、ドレッシングです。種類によっては少量でも100カロリー以上のものもあるので、他のメニューで油を使っている場合は、ノンオイルタイプを選ぶなどの工夫をしましょう。
主食にサンドイッチを選んだ場合は、野菜スープとヨーグルトを組み合わせると、野菜とたんぱく質を補うことができます。

次に、お弁当を選ぶときのコツです。
 まず注意したいのが、揚げ物が主菜のお弁当。家庭で作る揚げ物よりも衣が厚いものが多く、衣が油を吸収しているため、脂質、カロリーともに高くなります。タルタルソースを使ったものも高カロリーになります。
 もう一つ気をつけたいのが、ご飯の量。お弁当によって異なりますが、ダイエット中の人や女性には多すぎる場合があります。ご飯は、男性用のお茶碗1杯が約200g、女性用のお茶碗1杯が約150gです。一度、自分でご飯の量を計ってみて、だいたいの目安量を覚えておくとよいでしょう。
1日に摂取する野菜の適量は350g以上ですが、コンビニのお弁当の大半は野菜がほとんど入っていません。なので、お弁当にはサラダやスープを組み合わせて、野菜をプラスするようにしましょう。
 ここで気をつけなければならないのが、サラダの種類です。グリーンサラダ+ノンオイルドレッシングならかなり低カロリーに抑えられますが、ポテトサラダだと200カロリー以上のものもあります。じゃがいもは野菜の中でもカロリーが高めで、さらにマヨネーズで和えているため高カロリーになります。ポテトサラダが食べたい場合は、脂分が控えめのお弁当を選ぶと安心です。

バランスの面からいうと、野菜もある程度入ってご飯の量も控えめの幕の内弁当がおすすめです。とはいえ、時には揚げ物を食べたいときもあると思います。そんなときは、次のような工夫をしてみましょう。

1.ご飯を残す
2.揚げ物の衣や鶏肉の皮は、1~2個ははがして残す
3.マヨネーズ、タルタルソース、付け合わせのパスタを残す
4.野菜ジュースをプラスする
5.次の食事は油を控えたあっさりとしたメニューを選ぶ

次に、パスタを見てみましょう。
野菜が少ないのは一目瞭然ですが、それ以上に、パスタの量が問題です。
 サンプルで調べたところ、小さめのものでもパスタが280g、大きめのものでは380gありました。380gのパスタをご飯に換算すると350g。これは、丼にてんこ盛り以上の量になります。パスタ280gはご飯260gに相当するので、これでも丼1杯の量になります。このように、パスタは炭水化物の量がかなり多いメニューということがわかります。
 パスタを選ぶのであれば、小さめのサイズにして、サラダと野菜ジュースをプラスするとよいでしょう。サラダは、魚介類や肉など、多少でもたんぱく質も入ったものだとよりよいでしょう。
1食の食事ですぐにどうこうなるわけではありませんが、1食のバランスの悪さが1日につながり、1日が月につながり、年につながり、徐々に体重が増えていくということになるので、1食でも多少は気をつけて、バランスよく食べるように意識することが大切です。

塩分量もチェック

カロリーや脂質に加え、塩分もチェックしてみましょう。
成分表示のところに「Na」として書かれている数値は、ナトリウムの数値であって、食塩の量ではありません。食塩の量に換算するには、次の数式で計算する必要があります。

Na(g)×2.54=食塩の量となります。
*Na1.4gの場合は、1.4g×2.54=3.6g

Naがmgで表示されていたら、Na(mg)×2.54÷1000=食塩の量となります。
*Na1.4gの場合は、1400mg×2.54÷1000=3.6g

ナトリウムはけっして体に悪いものではなく、体内の水分量を調整するなどの役割を果たしています。ただし、とりすぎると高血圧などの原因となるので、とりすぎないように注意しましょう。

清涼飲料水のカロリー表示の落とし穴

コンビニで、清涼飲料水をよく購入される方も多いでしょう。
清涼飲料水についている表示には、ちょっとしたからくりがあります。
 「カロリーオフ、低カロリー、ローカロリー、カロリーカット、カロリー控えめ」という表示は、飲料なら100ml中20kcal以下、食品なら100g中40kcal以下であれば表示してよいことになっています。また、「ノンカロリー、カロリーゼロ、カロリーカット」という表示は、100ml中5kcal以下であれば表示してよいことになっています。つまり、いずれもまったくのゼロカロリーではないので、注意しなければなりません。
 また、缶コーヒーなどは、1本分のカロリーではなく、100mlあたりのカロリーが表示されている場合があります。一見、カロリーが低そうに見えても、容量で換算するとけっこうなカロリーになる場合があるので、注意が必要です。
飲み物に含まれている糖質は、ほとんどが砂糖だと思ってください。1日の砂糖の摂取量は、20gもとれば十分です。
 カロリーオフの飲み物であっても、1日に何本も飲めば、カロリーも糖質もオーバーになります。清涼飲料水を飲むときは、容量も確認するようにしましょう。
 また、カロリーオフのものは人工甘味料を使っているものが多く、カロリー的には問題なくても、味覚が甘さに慣れてしまうという点でも注意が必要です。
飲み物はお茶やブラックコーヒー、糖質ゼロのものを選ぶのがベストです。

このように、ちょっと工夫するだけで、コンビニの食品でも理想の食事に近づけることができます。
大切なのは、栄養が偏りすぎないように、バランスよく食べること。主菜は肉ばかりだとコレステロールが高くなるので、魚や豆腐などもできるだけ取り入れましょう。
野菜は、サラダばかりでなく、煮物や炒め物などのように火を通したものだと、かさが減って、たくさん食べられます。
 ダイエット中の人は、野菜や汁物を最初に食べるのがおすすめ。カロリーの低いものである程度お腹を満たしておくと、血糖値の上昇が緩やかになり、主菜やご飯の食べすぎを防げます。
最後に、ポイントをまとめましたので、こちらを参考にして、コンビニを上手に活用してください。

コンビニ活用術まとめ

  1. カロリー表示を確認する
  2. 栄養のバランスのよいメニューを選ぶ
    栄養のバランスがよくなるように選ぶ
  3. 同じメニューをつづけない
  4. 上手に残す
  5. 前後の食事で調整する(夕食偏重は避ける)

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