トップページ > 第109回健康教室

平成25年11月19日(火)~20日(水)、直営保養所「TJK箱根の森」において、第109回健康教室を開催しました。
今回は宿泊型健康教室で、1日目(第一部)は、「明日から役立つ心の健康管理のツボ」と題し、TJKメンタルヘルスセンター所長としておなじみの山﨑友丈先生による講演が行われました。
2日目(第二部)はTJK管理栄養士および健康運動指導士により、日常の食事に取り入れやすい減量対策、就業中に取り入れやすい運動に関する講義が行われました。その様子をレポートします。

第二部

「ガッチリ、つかもう! Best Weight
~外食、お付き合い時のコントロール法~」

●講師 宗本乃里子(TJK管理栄養士)

第二部の前半では、参加者を5つのグループに分け、グループワークを中心に、管理栄養士による講義が行われました。

内臓脂肪の蓄積がベースとなり、高血圧、高血糖、脂質異常などが複数重なると、動脈硬化を引き起こし、心臓病や脳卒中といった命に関わる病気の危険性が急激に高まります。そうならないためにも、生活習慣を見直し、メタボの予防・改善に努めることが大切です。

1日の適正摂取カロリーは、身長や体重、年齢、性別、身体活動レベルにより異なります。まずは、以下の数式をもとに、1日の適正摂取カロリーを各自で計算しました。

標準体重
※1
(kg)
× 基礎代謝基準値
※2
(kcal/kg/日)
× 身体活動レベル
※3
1日の適正摂取
カロリー
(kcal/日) 
 

※1 標準体重
身長
(m)×身長
(m)×22=標準体重
(kg)

※2
基礎代謝基準値
(kcal/kg/日)

年齢区分 男性 女性
18~29歳 24.0 23.6
30~49歳 22.3 21.7
50歳以上 21.5 20.7

※3
身体活動レベル

  低い(レベルⅠ) ふつう(レベルⅡ) 高い(レベルⅢ)
18~69歳 1.50 1.75 2.00
70歳以上 1.30 1.50 1.70

*身体活動レベルの目安
低い : 生活の大部分が座位で静的な活動が中心
普通 : 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤、買い物、家事、軽いスポーツを行う
高い : 移動や立位が多い仕事。スポーツなど活発な運動習慣がある

TJK組合員の健診結果を統計的に見てみると、30~40代にメタボ予備群が多く、なかでも30代の肥満が増加傾向にあります。また、20~30代では、中性脂肪が高く、血圧も高い人が多いのが特徴です。
 その主な原因として考えられるのが、夕食の時間が遅いことと、運動不足です。夕食の時間が遅いと、翌朝、欠食になる可能性が高くなり、するとますます中性脂肪が高くなってしまいます。
 また、年齢が高くなるほど筋肉量は落ち、それと同時に基礎代謝も低下します。そのため、年々体重が増えてしまうのです。
20歳のころと比べて体重がどう変化したかを見直し、体重が増加傾向にある人は、まずはその増加をストップさせることが第一目標です。

減量するために、主食(ご飯、めん類、パン)を極端に減らす糖質制限食を試す方がいますが、これはおすすめできません。
 たしかに一時的に体重は減りますが、脂肪と同時に筋肉も落ちてしまいます。すると、体は節約モードになり、基礎代謝が落ちてしまいます。糖質制限食をずっと継続することはほぼ不可能なので、途中でもとの食事に戻すと、確実に体重は増えます。これがリバウンドです。リバウンドで増えた分はほとんどが脂肪なので、以前より太りやすい体質になってしまうのです。
減量する際には、健康維持のために必要な栄養素やエネルギーをきちんととりながら、余分なエネルギーを減らしていくことが大切です。

アルコールも、飲みすぎれば肥満の原因にもなるし、健康にも影響を与えるので、飲み方のコツを覚えておくことが大切です。
 まず、ふだんどれくらいの量のアルコールを飲んでいるかを把握するために、各自で計算しました。そして、飲みすぎてしまったときにはどのような対策をとったらよいかをグループごとに発表してもらったところ、「水をたくさん飲む」「つまみには野菜料理を選ぶ」「翌日は飲まないようにする」「〆のラーメンは食べない」「帰りに一駅分歩く」などの意見が出ました。

管理栄養士からは、

  • 飲んだときに満足感を得ることが大事。プリン体カットや糖質ゼロのものを選んだとしても、量的に増えてしまうようなら、好みのビールを適量味わうほうがよい。
  • 白ワインを炭酸水で割ったり、ビールと一緒にチェイサーとして炭酸水を飲むと、アルコール量が抑えられる。
  • ワイングラスのような高さのあるグラスは、飲酒量を正確に把握しづらく、飲みすぎになりやすいので、避けた方がよい。

などのアドバイスがありました。

毎日の食事をバランスよくとるというのは、現実的にはそう簡単なことではありません。つい食べすぎてしまったとしても、どう対処したらよいかがわかっていれば、体重をコントロールすることは可能です。
 そのための基本知識として、主食・主菜・副菜の見分け方を学びました。さまざまな食事メニューの料理カードを使い、グループごとに話し合いながら、主食・主菜・副菜に分類してみました。基本的には、

主食 : ご飯、めん類、パンなどの炭水化物
主菜 : 肉、魚、卵、大豆製品など主にたんぱく質源となる食品
副菜 : 野菜、きのこ、海藻類など

というふうに分類されます。メニューのなかには、シュウマイやピザ、あんかけ焼きそばなどのように、どこに分類されるのか迷ってしまうものもありました。それらについては管理栄養士から、「シュウマイは主に肉や魚介類を使っているため主菜扱い、ピザは主食と主菜が一緒になったもの、あんかけ焼きそばは主食・主菜・副菜のすべてを満たしているメニュー」との解説がありました。

次に、市販のお弁当やお惣菜などさまざまな食品を実際に手に取りながら、成分表示の見方について学びました。
成分表示では、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの5つは必ず表示することが義務づけられています。成分表示を見るときに注意しなければならないのは、その食品1包装あたりの数値を示していることもあれば、「100gあたり」など一定の分量に対する数値を示している場合もあるということです。対象となる分量は、たいてい成分表示の一番上に記載されているので、そこできちんと見分けるようにしましょう。
 また、「ナトリウム」として表示されている数値は、塩分量ではありません。塩分量は、以下の計算式で求めることができます。

ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1000 = 塩分量(g)
例)ナトリウム330mgの場合
330 × 2.54 ÷ 1000 = 0.84(g)

1日の塩分摂取量は、男性は9g以下、女性は7.5g以下が望ましいとされています。

その後、グループごとに配られた1食分のメニューの総カロリーを計算し、自分の適性摂取カロリーと比較して、どのような調整が必要かを話し合いました。その結果、次のような意見が発表されました。

例1)「サンドイッチ+おにぎり+春雨スープ」というメニューの場合
 カロリー的には少し余裕があるので、不足している野菜がとれるようなメニューをプラスする。

例2)「お弁当+ポテトサラダ」というメニューの場合
1食分のカロリーをややオーバーしているので、ポテトサラダを少し残すか、揚げ物の衣の一部をはがして食べる。

管理栄養士からは「毎食、バランスよく食べるというのは難しいので、足りない栄養素やとりすぎたカロリーなどは、次の食事で調整するとよいでしょう」とのアドバイスがありました。

メタボ率の高さを職種別にみると、1位が金融保険業、2位が情報通信業です。情報通信業にメタボが多い理由として、夜9時以降に夕食を食べる、24時を過ぎてから就寝する、ストレスが多い、デスクワーク中心で運動不足などがあげられます。これらの生活習慣を改善するのは難しいですが、一つだけ解決策があります。それは、夕方に軽食をとる「分食」です。帰宅後、遅い時間に1食分の夕食を食べるのではなく、夕食を2回に分けて食べる、という方法です。
遅くとも夜8時ごろまでに、おにぎりやクラッカーなど、軽い食事をとりましょう。外出中であればそばやうどんでもよいですし、昼休みにコンビニでサンドイッチやおにぎりを買っておき、それを夕方食べるとよいです。牛乳やヨーグルトなどの乳製品も、腹持ちがよいのでおすすめです。そして、帰宅してからは主食(炭水化物)はとらず、おかずなどを食べるとよいです。そのときはちょっと物足りなくても、「明日の朝、しっかり食べればいい」と頭を切り替えるとあまり苦にもなりません。すると、翌朝には体がリセットされ、朝食もきちんととることができます。
夕方に10分でも15分でもよいので、軽い食事をとる時間をつくる。それが、メタボの改善につながります。

最後に、管理栄養士から次のようなメッセージがありました。

「メタボは1日では成らず。
  3日で増えた体重は、3日で戻す。3日で戻らなければ、1週間で戻す。
  こまめに体重を測定して、メタボの種は早めに解消しましょう」

グループワークを中心とした実践的な内容により、参加者たちは食生活改善のコツをより深く理解できたようです。

お問い合わせ先:東京都情報サービス産業健康保険組合 健康管理グループ TEL 03-3360-5951
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