平成20年11月13日(木)~14日(金)、直営保養所「TJKリゾート金谷城」において、第94回健康教室を開催しました。今回は1泊2日の「宿泊型」で開催し、1日目には東京女子体育大学准教授・秋山エリカ先生のご講演、2日目には、体験版ヘルスアップセミナーとして、TJK保健指導スタッフによる講演と体育実技が行われました。

1日目

新体操選手としての経験、
指導者としての実践に基づく「秋山式健康法」

かつての新体操選手時代の経験と、現在の指導者としての実践に裏打ちされた、さまざまな分野での効果的な健康法をお話しいただきました。

●講師 秋山 エリカ 氏

幼少の頃からバレエに親しみ、中村学園高校時代に器械体操から新体操に転向。東京女子体育大学在学中に頭角を現し、1984年ロサンゼルス五輪、1988年ソウル五輪と連続で代表に選出。国内最高峰の全日本選手権を1984年から6連覇するなど第一人者として一時代を築く。現在は講演・講師・メディア・東京女子体育大学准教授活動と活躍するかたわら、海外でのコーチ研修を経て後進育成に力を注ぐ。先の2008年北京五輪ではNHK新体操競技中継の解説を務める。

現代は食べ物に対する情報がありふれている時代です。私たちは、よい食生活とはどのようなものか、ちゃんとわかっています。しかし、理解はしていても、なかなかその通りには実践できません。忙しさにかまけて、ついついコンビニで買ったもので食事を済ませてしまったり、毎日好きなものばかり食べてしまったり。

新体操選手には減量がつきものです。しかし、急激な減量は100%リバウンドします。1ヵ月に5kg以上体重を減らすようなダイエットは危険です。
人は手っ取り早くやせたいものです。ダイエットのためのサプリメントで1週間で2kgも体重が減った、というようなことがあれば、そのサプリメントには利尿剤が含まれていると考えてよいでしょう。そして、そのようなダイエットは体を壊すもとになります。

ダイエットをするなら、1日の摂取カロリーを300~500kcal減らして、2週間で体重1kg減程度を目指すべきです。ポイントは継続です。長期的に継続することが、よい結果をもたらします。
 また、常に「食べてはいけない」と考えていると、食べることを罪悪のように感じるようになる半面、かえって食べ物のことが頭を離れなくなって、大きなストレスとなります。「食べてはいけない」と考えるのではなく、「何を、どのように食べれば元気で健康でいられるか」と発想の転換をすることが大切です。
 よく、「新体操選手はケーキを食べてはいけないのでしょう?」と聞かれます。ケーキが食べたかったら、食べてもかまいません。その代わり、「晩ご飯を軽めにして、夜に30分走ろう」と、ケーキを食べられる方法を考えればよいのです。
なお、体重はそのときどきで増減します。増えたときには当然その原因を考えますが、減ったときにもその原因を考えるべきです。その中で「自分にとって一番よい減量法」を見つけることです。

習慣的によい食事が摂れるようになるには、3ヵ月以上かかります。そして、それを継続すれば、半年後には安定して少しずつ体重が減っていることでしょう。根気が必要な方法ですが、安全なダイエットです。
生活習慣や体質は人によって違います。ある人にとって最善の方法が、別の人にとっても最善の方法であるとは限りません。世の中にはいろいろな減量法がありますが、万人に効果的なマニュアルは作れないのです。

「ウエストを細くしたい」「二の腕のたるみを取りたい」など、気になる部分がある人もいらっしゃるでしょう。筋肉のエネルギー燃焼率は大きいので、脂肪は筋肉の少ない部分や、ふだんあまり動かしていない部分につきます。逆に言えば、気になる部分があるなら、ただ体を動かすだけでなく、その部分の筋力を集中的に増やすことが、「部分やせ」の秘訣です。

早寝早起きは健康によいのですが、夜型生活の多い現代人にはなかなか難しいようです。そのような方には、1日でよいので思い切って朝早く起きて、外を散歩することをおすすめします。

人間は、太陽の光を浴びることによって眠気を覚える時間がリセットされるようにできています。私は現役時代、年に4~5回、海外遠征に行っていました。現地到着後はできるだけ早く、現地時間に順応しなくてはなりません。そこで、前日の就寝時間が遅くても、現地の朝の時間にはきちんと起きて外を散歩するようにしていました。おかげで20年以上時差ボケを経験したことはありません。
有効な方法だと思いますので、夜型生活から抜け出せない方に試していただきたいと思います。

肩や腰が痛い、目が疲れるという方には、筋肉をほぐして痛みやこりを取るためのストレッチが有効です。それも、単に筋肉を伸ばすだけでなく、ひねりを加えると、さらに効果がアップします(雑巾を絞ることを考えてみてください)。ひねりの動きは全身へのアプローチとなります。肩や腰が痛い場合でも、その部分だけに原因があるのではないのです。骨と筋肉はつながっています。その周りの部分もほぐすことが、痛みやこりの解消には効果的です。

目の疲れを解消する方法としては、人指し指を出して、その指の先とどこか遠い場所の1点を決めて、交互に見つめます。最初は視線を切り替えたときに人指し指がぼやけて見えますが、何回か繰り返すうちに、一瞬で焦点が合うようになります。これは目のストレッチともいえる方法です。仕事の合間に手軽にできますので、お試しください。

私が現在指導している大学では、「体育大学なのに」と思われるかもしれませんが、チームでの行動ができなかったり、自分に自信が持てなくて悩む学生がいます。それに対して、私が取り入れている指導法は、グループワークです。

まず、学生を6人のグループに分け、「無人島へ行くとしたら、何を持って行きますか」と尋ね、それぞれの答えをグループで言い合います。次に、「無人島だと思っていたら、グループ全員がいました。私はそこへ遊びに行くのですが、みんなが持って行った物で、私をどのようにもてなしてくれるかを考えてください」と言って、グループで話し合ってもらいます。
6人のグループで、それぞれの持ち物が重なり合うことはあまりありません。そして、グループによっても持ち物は違うので、それぞれのグループでバラエティーに富んだ楽しいプランができ上がります。そこで私は、「6人が同じ物を持って行っていたら、こんな面白いプランは立てられないよね。あれがない、これがないと思うのではなく、『私の持ち物はこれだ』と認識しなさい」とアドバイスします。
次に、グループのほかの5人に対して、それぞれのよいところを書いたカードを書いて、本人に渡してもらいます。つまり1人につき、5通のカードが届くわけです。そこには、自分では気づかなかった自分の長所が書かれています。そこで、「これがあなたの持ち物だよ。それを磨きなさい」とアドバイスするのです。

世の中には、いろいろな人がいます。自分にないものは、人から借りればよいのです。一人ひとりの社員が自分が優れている点をさらに伸ばせば、会社全体が大きく成長することでしょう。管理者のみなさんは、「自分の持っているもので、自分の役割を果たすことが大事」ということへの気づきを、部下の方に促してあげてください。

競技生活では、さまざまな競技会に出場する機会が多いものです。そんなときには誰でも緊張します。特に、それがオリンピックのように大きな舞台だと、緊張のあまり、「怖い、怖い」と思い悩んでいる状態から抜け出せないこともあります。
 そのようなときに、よく「大丈夫だよ」と言う人がいますが、大丈夫ではないから苦しんでいるのです。まず、「大丈夫ではない」ことを受け止めてあげることが大切です。

私は「怖いよね、当たり前だよね。でも、怖いからできないのではなくて、怖くてもできるかもしれない。緊張していてもできることって何だと思う?」と言います。そして、何が怖いのか、その怖さを解決するためにどうすればよいと思うかを一つひとつ聞いていって、混乱した心を整理する手助けをします。そうすると最後には、「自分にできることを一所懸命やるしかない」という気持ちに落ち着くのです。

また競技会で、自分では「よくできた」と思ったのに低い点数がつけられて、「なぜ、私があの人より下に」と納得できないこともあります。同じように努力して、同じような成績を上げたのに、評価が異なるということは起こり得ます。人が人を採点するのですから、完璧な評価はできません。

しかし、時に私たちは、実際より高く評価されることもあります。つまり、長い人生の中では、実際より高く評価されることもあるし、低く評価されることもまたあり得るということです。そして、長いスパンで考えると、「ラッキー」と「アンラッキー」は、案外バランスがとれているように思うのです。納得できない結果に、いつまでもこだわるよりも、「今回はアンラッキーだっただけ」と、気持ちを切り替えることも大切です。

大きなプレッシャーを受けたり、納得できない結果にこだわりを感じることは、社会生活でもあり得ます。そのようなときには、自分1人ではなかなか気持ちを切り替えることはできないものです。ラインケアでは、その混乱した気持ちを受け止めてあげながらも、本人が心の整理をできるように、手助けしてあげていただきたいと思います。

私は旧ソ連への留学経験があります。寮で生活し、毎月の血液検査の結果に基づいて各自の食事メニューが違うほど、管理は徹底していました。そこで配られた教科書には、何歳であればどのようなことをしてと、生活の事細かな面にわたるまでの注意事項が記載されていました。

その第1ページに書かれていた言葉には驚きました。「スポーツ選手がスポーツをする第一の目的は、オリンピックの金メダルである」とあったのです。日本ではなじまない考え方だと思いますが、その是非はともかく、目標がはっきりしていれば、その目標に向かって人は頑張ることができるものなのです。

どれほどよい指導法を考えても、本人がその気にならない限りは無理なのです。本人の目標をクリアにしてあげることが、指導の第一歩なのかもしれません。

2日目

ヘルスアップセミナー

特定健診対策を視野に、メタボリックシンドロームの予防・改善を主なテーマとして開催されました。運動の体験実技を含む、中身の濃いセミナーとなりました。
講師 ●TJK保健指導スタッフ(保健師 寺田 樹里、管理栄養師 猪爪 靖子、運動指導 笠原 千秋)

TJK特定保健指導プログラムの利用促進を

平成20年4月から、生活習慣病を未然に防ぐことを目的として、40~74歳を対象とした特定保健健診・特定保健指導が始まりました。主なポイントは、(1)目的が「早期発見・早期治療」から「予防」へ、(2)生活習慣病の前段階でのメタボに着目、(3)メタボのリスクでレベル分けされた保健指導、(4)特定健診・保健指導の成果が健保財政を左右、という4点です。

(1)目的が「早期発見・早期治療」から「予防」へ
予防が重要視されるようになった背景には、医療費の適正化があります。平成16年度の国民医療費では、全体の32.1兆円の約3分の1が、がん、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病(合併症含む)、高血圧性疾患など、生活習慣病に関わる治療費として使われています。
安心して医療を受けられる環境を整備するためには、生活習慣病の医療費を削減することが必要です。そのために、生活習慣病になってから治療するのではなく、まず生活習慣病にならないための「予防」が大切なのです。

(2)生活習慣病の前段階でのメタボに着目
 メタボを放置しておくと、ホルモンの分泌バランスが崩れ、悪玉ホルモンの増加によって、高血圧や高血糖、脂質異常が引き起こされます。これらの状態がさらに動脈効果を促進し、脳血管疾患や心疾患のような命に関わるような生活習慣病の原因になるのです。つまり、生活習慣病を起こす「黒幕」は、「内臓脂肪の蓄積」です。そのために、メタボあるいはメタボ予備群の段階で、生活習慣を改善することが必要とされるのです。

(3)メタボのリスクでレベル分けされた保健指導
特定健診の結果、メタボリックシンドロームに該当あるいはリスクがあると判断されると、特定保健指導の対象となり、低リスクの人には「動機づけ支援」が、高リスクの人には「積極的支援」が行われます。
TJKの特定保健指導プログラムでは、健診終了後に私たち保健指導スタッフの面接を受けていただき、生活習慣改善の目標と、自分でできる6ヵ月間の行動計画を作成し、それに沿って健康づくりを実践していただきます。
6ヵ月の間は、私たちが相談を随時受け付けるとともに、ヘルスアップセミナーなどにも参加していただき、「積極的支援」ではメール・電話・手紙などによる継続的な支援も行います。そして、面接から6ヵ月後に、メール・電話・手紙で最終成果を確認します。

(4)特定検診・保健指導の成果が健保財政を左右
現在、保健指導該当者のうち、特定保健指導プログラムに参加した人の割合は63%。そのうちプログラムを終了した人は18%です。24年度にはプログラム終了率を45%以上にすることが求められていますが、この割合を達成できないと、後期高齢者医療制度に対するTJKの負担金が増え、みなさまが納付されている保険料の増額にもつながりかねません。
完了者が少ない理由として、プログラムの存在があまり知られていないことが考えられます。健康管理委員のみなさまには、多くの方にこの制度を知っていただくための啓蒙活動とともに、健康生活を実践して社員のモデルとなっていただけるようお願いいたします。

メタボさん、50歳・男性。身長170cm、体重90kg、BMI 31.1(肥満)、腹囲95cm、血圧135/75mmHg、中性脂肪250mg/dl、血糖値95mg/dl。喫煙歴なし。
→保健指導レベルの判定基準より、「積極的支援レベル」と判定。

1.面接で6ヵ月後の目標と行動計画を作成

●メタボさんの希望と目標の設定
20歳頃には70kgだった体重が年々増えてきた。運動は苦手なのであまりしたくないが、できれば半年で3年前の85kgの体重に戻したい。
→目標:体重を90kgから85kgにする

●行動計画
(1)毎日1本飲んでいる缶コーヒーをやめて、会社で飲めるコーヒーをブラックで飲む
(2)会社の近くの定食屋で食べている昼食のどんぶりご飯1杯を中茶碗1杯にする
(3)週に2日は飲んだ帰りにラーメンを食べていたが、週1回までとする
(4)駅では階段を使う
(5)週に3回は一つ手前の駅で降りて、駅から自宅までの15分を歩く
(6)毎日体重を量る

2.メタボ予防・解消プログラムを実践

●保健指導スタッフは…
 スタートから1週間後に、「1週間経ちましたがどうですか?」「続けられそうですか?」「変更したい点はありますか?」とメール。その後も数週間ごとに計画の実行状況をメールで確認。

●メタボさんは…
行動計画を実践しながら、ヘルスアップセミナーに2回参加

3.6ヵ月後の最終確認

体重84.1kg(5.9kgの減量に成功)!

◆缶コーヒーを飲まない(7日/週)
80kcal×182日=14,560kcal
◆昼食のどんぶりご飯1杯を中茶わん1杯にする(5日/週)
(どんぶりご飯400kcal-中茶わん300kcal)×129日=12,900kcal
◆飲んだ帰りのラーメンを1回/週までにする
450kcal×26日=11,700kcal
◆3回/週は一駅手前で降りて駅~自宅(片道15分)を歩く
30kcal×78日=2,840kcal

合計41,500kcal → 41,500÷7,000(※)=5.9kg
※脂肪1kgの燃焼には7,000kcal必要

メタボリックシンドロームを予防するための食生活のポイントは、(1)適正体重を保つ(食事量を見直す)、(2)栄養のバランスを見直す、(3)食習慣を見直す、という3点です。

(1)適正体重を保つ(食事量を見直す)
 まず、標準体重を計算してみましょう。標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22です。実際の体重が、標準体重をはるかに超えていたり、20歳時の体重よりかなり増えているようであれば、摂取エネルギーの見直しが必要でしょう。
次に、適正体重を保つには、どれだけのエネルギーを摂ればよいかを計算します。1日に必要なエネルギー(kcal/日)=標準体重(kg)×基礎代謝基準値(kcal/kg/日)×身体活動レベルです。基礎代謝基準値は年齢と性別によって、身体活動レベルは年齢と身体活動の程度によって異なります。
 この計算で出された1日に必要なエネルギー量より多くのエネルギーを摂っていると、体重は標準体重よりも増えていくことになります。

(2)栄養のバランスを見直す
何をどれだけ食べればよいのかを考えるには、4群点数法を活用すると便利です。4群点数法とは、すべての食品を第1~4群に分けて、それぞれ摂取する目安となる点数(分量)が示されたものです(下図参照)。
1点80kcalで、第1群(卵、乳・乳製品)3点、第2群(魚介・肉・その加工品、豆・豆製品)3点、第3群(野菜、芋、くだもの)3点、第4群(穀類、油脂、砂糖・その他)11点の合計20点(1,600kcal)とするのが基本です。後は、それぞれの1日に必要なエネルギー量に合わせて調節するとよいでしょう。
 ポイントは第1~3群を優先的に摂取し、第4群もまず穀類(9点)を優先するということです。逆にエネルギー量を減らしたいと思ったら、まず、油脂や砂糖から減らし、次に穀類、そしてそれ以外の食品は必要量から減らさないようにします。
 なお、バランスのよい食事を心がけているつもりでも、素材選びや料理法で摂取エネルギーには大きな差が生じます。特に摂取過多になりやすいのは油脂です。1日の摂取量として大さじ1杯強程度に留めておきたいものですが、油脂は調味料としても使われるので、なかなか意識しづらいと思います。
油脂の摂取については、(1)揚げ物を頻繁に食べない、(2)揚げ物を食べたら、次の食事を軽いものに、(3)サラダにかけるドレッシングに注意する、という3点に心がけていただきたいと思います。特に(3)では、大さじ1杯のマヨネーズは100kcalもあることを覚えておいてください。

●4群点数法

4群点数法の基本
どんな食品をどのくらい食べればよいかを、エネルギー量(熱量)を基準にして考える方法です。すべての食品を以下のように4群に分けます。

STEP1 【4群】の栄養的特徴を理解し、食品の分類を覚えます。
STEP2 【点数法】によって、食べる量をカウントします。80kcal=1点

具体例
第1~第3群の各食品群から3点ずつ3×3=9点分を優先的に摂取します。
1日20点の人の残りの必要量は11点(880kcal)です。これを第4群の食品からとります。
ただし、穀類9点分を優先的にとり、残り2点分を油脂、砂糖、その他でとります。

(注)第3群の野菜は、1食に数種類ずつ食べることが多いため、【野菜1点】は【野菜の合計が350g以上】となります。

(3)食習慣を見直す
食習慣を見直すポイントは、(1)1日3食、規則正しい食事をする、(2)夕食を早い時間にとる、(3)「ドカ食い」「ムラ食い」「ながら食い」をしない、(4)ゆっくりとよく噛んで食べる、(5)嗜好品(菓子、アルコール、清涼飲料水等)を摂り過ぎない、(6)油脂、塩分を摂り過ぎない、です。
TJK組合員の方には、特に(2)と(5)に心がけていただきたいと思います。
仕事で遅くなるけれども自宅で食事がしたいという方には、6~7時くらいにおにぎり1個かサンドイッチなどの軽食をとり、帰宅後にはおかずだけを食べる方法をおすすめします。
 お菓子を食べるのなら、200kcalまでを目安にしてください。ただし、毎日の習慣にはしないこと、夕食の後には食べないことが大切です。また、お酒を飲む方は1週間に1~2日の休肝日を守りましょう。
栄養士としてお願いしたいことは、人間ドックの受診や健康セミナーに積極的にご参加いただくことと、若い年代からの体重管理です。男性の人間ドック受診者の3人に1人は肥満です。しかも、20代のときより10kg以上増えている方が40%以上です。特に30代の肥満者が多いため、特定健診の対象となる40歳から体重管理を始めるのでは遅いのです。まず、実行可能なことから始めてみてください。

簡単にできる運動を体験してみよう

身体活動とは身体を動かすことすべてをいい、運動と生活活動が含まれます。生活活動とは、運動以外の労働や家事など日常生活での活動です。以前は、健康づくりのためには運動が重視されていましたが、現在では身体活動として、生活活動を含めた活動量を上げるという考え方が主流になっています。

身体活動量(単位:エクササイズ)は、身体活動の強さ(単位:メッツ)×時間(単位:時間、〈例〉30分=0.5時間)で求めることができます。
1メッツとは座って安静にしている状態です。メタボリックシンドローム予防のためには、週23エクササイズ(1日3~4エクササイズが目安)の活発な身体活動(そのうち4エクササイズは活発な運動)が効果的です。

これが、例えば体重を減らしたい、血糖値を下げたい、など改善を目的にする場合には、週に10エクササイズの運動が必要となります。生活活動と運動の強度を図(運動強度表)に示しましたので、ここから実践できそうな身体活動を考えるとよいでしょう。
人間ドックの運動指導では、これを元に身体活動の見直しを行い、始めやすい運動や生活活動、スポーツ施設の利用などから活動量を増やすことをおすすめしています。
 なお、身体活動による消費エネルギー(kcal)は、1.05×身体活動量(エクササイズ)×体重(kg)です。
本日は、身体活動でいえば2エクササイズに相当する運動の実技を行ってみましょう。

●運動強度(メッツ)表<運動>

ウオーキング ジョギング ランニング 水泳 アクアビクス
水中歩行
時速6km 4.0メッツ 7.0メッツ 時速8km 8.0メッツ
時速9.6km10.0メッツ
ゆっくり 6.0メッツ
早い 11.0メッツ
4.0メッツ
自転車エルゴメーター エアロビクスダンス テニス バスケットボール
軽い 3.0メッツ
重い 5.5メッツ
簡単 5.0メッツ
普通 6.5メッツ
シングルス 7.0メッツ
ダブルス 5.0メッツ
6.0メッツ
ボウリング
フリスビー
ゴルフ 社交ダンス ダンス 卓球 野球
ソフトボール
3.0メッツ カートなし 4.5メッツ
カート利用 3.5メッツ
3.0メッツ 4.8メッツ 4.0メッツ 5.0メッツ
バレーボール サッカー
フットサル
空手
柔道
キックボクシング ヨガ
ストレッチ
バドミントン
3.0メッツ 7.0メッツ 10.0メッツ 10.0メッツ 2.5メッツ 4.5メッツ
太極拳 テレビ体操 スキー
スケート
登山 釣り 筋力トレーニング
4.0メッツ 3.5メッツ 7.0メッツ 7.5メッツ 座位 3.0メッツ
渓流 6.0メッツ
低強度 3.0メッツ
高強度 6.0メッツ

●運動強度(メッツ)表<生活運動>

ゆっくり歩き
・買い物
・子どもと一緒に
普通歩き
・時速4.8km
やや早歩き
・時速5.6km
動物の世話
(歩く)
動物の世話
(歩く&走る)
2.5メッツ 3.3メッツ 3.8メッツ 3.0メッツ 4.0メッツ
自転車 階段上り 階段下り 屋内の掃除 はき掃除
4.0メッツ 8.0メッツ 3.0メッツ 3.0メッツ 3.3メッツ
モップかけ 掃除機かけ 床みがき 風呂そうじ 子どもと遊ぶ
レジャー
3.5メッツ 3.5メッツ 3.8メッツ 3.8メッツ 4.0メッツ
日曜大工 軽い荷物運び 重い荷物運び 家財道具片付け 箱詰め作業
3.0メッツ 3.5メッツ 8.0メッツ 3.0メッツ 3.5メッツ
家具の移動・運搬 芝刈り 農作業 庭の草むしり
苗木の植栽
介護
6.0メッツ 5.5メッツ 4.5メッツ 4.5メッツ 4.0メッツ

●ウオーキングのポイント
・胸を張って、天井から引っ張られているような気持ちで背筋を伸ばす
・歩幅を少し広く取り、けり出しを強くしてスピードアップする
・腕を後ろに引くことを意識して振る
・ときどき自分で姿勢を確認する

●ウオーキングのバリエーション
・スピードを落として、もも上げ
・かかとがおしりにつくように、足を後ろにけり上げる
・腕を体の前面で90度に曲げ、開く・閉じるを繰り返す
・おしりをプリプリと振るように、腰にひねりを加える
・右手と右足、左手と左足を同時に出すナンバ歩き
など

●運動時の注意
・運動の前後には、ストレッチを加えた準備運動と整理運動を必ず行う
・無理をせず、その日の体調に合わせて運動量や強度を調節する
・運動の前後だけでなく、運動中の水分補給も忘れずに。目安は15分に1回程度

〈ストレッチのポイント〉
・反動をつけず、ゆっくり行う
・呼吸は止めない
・無理して伸ばさない
・伸展部分を意識する
・伸展した状態を10秒ほど保持する

〈安全な運動強度の目安〉
・人とおしゃべりをしながら続けられる
・運動終了後に苦しくなったり、痛みを感じることがない
・翌日に疲労や筋肉痛を残さない

お問い合わせ先:東京都情報サービス産業健康保険組合 健康管理グループ TEL 03-3360-5951
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