平成22年7月27日(火)、TJKプラザ(東京都千代田区)において、第99回健康教室を開催しました。今回は健康コラボ企画として、落語家真打ちの三遊亭白鳥氏とトレーニングコーチの宮本英治氏を講師にお招きし、健康落語+健康体操というプログラムを実演していただきました。お二人の軽快なトークに場内は終始笑い声に包まれ、まさに“笑って動いて楽しく健康になれる”講演会となりました。日々の生活に手軽に取り入れられるトレーニング法も教えていただきましたので、ぜひ参考になさってください。

●講師 三遊亭 白鳥 氏

落語家。1986年に三遊亭円丈に入門し、2番目の弟子に。2000年に真打ち昇進後、独自の創作落語で注目され、現在大変人気のある若手真打ちとなっている。笑うことにより糖尿病患者の血糖値が下がるなど、笑いと健康を科学的に説明し、新作落語で健康について各地で講演している。「人間笑って過ごすのが一番」と語り、東京の寄席では若手爆笑王といわれる。

三遊亭白鳥 公式ホームページ http://www1.odn.ne.jp/3hakutyou/

笑うことはとっても体にいい

笑うことはとっても体にいい

『笑いと健康』をテーマに、いろんなところで講演をしております。「こいつ、落語家なのに、なんで健康の話なんてするんだ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

実は私、生まれが新潟の高田という雪国でございまして、大変にお酒を飲む人が多いんです。おまけに、運動不足だったり、血糖値が高かったりで、糖尿病患者さんがたくさんいるんですね。その糖尿病患者さんの忘年会というのにお呼ばれしたことがございまして、そのときに、健康のありがたみというのは、病気になって初めてわかるもんなんだな、と思いました。糖尿病患者さんの忘年会では、ビールでは乾杯しないんです。「乾杯!」といって、インシュリンを腹にブスッと刺すんです。あぁ、やっぱり健康って大事だな、と思いましたね。

そのとき、お医者さんといろいろお話しておりましたら、笑うというのは大変体にいいとおっしゃるんです。リラックスしたり、ストレスを発散したり、ホルモンのバランスを整えるのにもいい、なんてことがいわれております。

でも、笑うというのは、実は大変難しいんですね。以前、ある老人ホームで2時間ほど落語をやりました。おじいちゃん、おばあちゃんが300人も集まっているのに、2時間の間、誰も笑わないんです。話が面白くなかったのかな、と心配になって、終わってから館長先生に聞いてみると、半分は耳が遠くて聞こえてなくて、残りの半分は笑う気力がない、って言うんです。そう、笑うには気力も必要なんですね。

いくら笑うことが体にいいといっても、いきなり笑えと言われて笑えるもんじゃありません。じゃ、どうしたらいいか。なんでもそうですが、順番にやっていく。準備体操というのが大事ですね。ではこれから、私が編み出したお笑い落語健康体操というのを、みなさんと一緒にやってみたいと思います。


まずは、笑う筋肉を刺激します。笑うときに使うこめかみあたりの筋肉、これを柔らかくするためにマッサージをいたしましょう。両手を顔にあてて、グリグリと大きく回してください。

次は、声を出す訓練です。笑うというのも、ただニヤッとかウフッとか、顔だけで笑っていては体にいい効能は得られません。声を出すことが大事ですので、これも準備体操をしましょう。

声を出すとき、顔が下を向いてしまうと、のどがつまってしまいます。みなさん、嫌なことがあると下を向いてしまうと思いますが、下を向くと体が陰になります。体を丸めて下を向くと陰の気になって、そこからどんどん嫌な気が入ってきます。では、陽にするにはどうしたらいいか。上を向くことです。すると、のどが解放されます。さらに、肩甲骨と肩甲骨を合わせるようにすると、体が真っすぐになります。そして、肩の力を抜いて、体を揺すりながら、鼻からゆっくり息を吸って、口から吐きます。何度か繰り返したら、息をたっぷり吸ってお腹にためて、上を向きます。口を大きく開けながら、あ行を2回ずつ声に出して言います。

「あーあー、いーいー、うーうー、えーえー、おーおー」
 さ、どうですか、みなさん。体が少し温かくなってきたと思います。これは、大きな声を出すことによって、体の隅々にまで血が巡って、活性化されたからです。

“免疫力を上げるには体温を上げよ”なんて内容の本がベストセラーになってますが、大きな声を出すだけでも、簡単に体温を上げることができます。これに動作をつけると、もっといい力が湧いてきます。子どものころにやったお遊戯を思い出してください。声を出しながら動くというのは、体にとてもいいんです。漁師さんが地引網を引くときに大漁節を唄ったり、田植えをするときにも歌を唄ったりしますね。歌を唄いながら、声を出しながら体を動かすことによって、体の免疫力も上がります。今、がんという恐ろしい病気がありますけれども、このがんをやっつけるナチュラルキラー細胞という免疫細胞を活性化するには、笑うこと、そして声を出しながら動くのがいいといわれております。

笑うときには横隔膜が上下しますが、これがポンプの役割をして、体の隅々にまで血が巡ります。笑う以外で、これと同じ効能が得られるのが、腕を動かしながら声を出す方法です。両手でパーをこしらえて、顔の横に置きます。先ほどと同じように上を向いて、大きくはっきりと口を開きながら、「あ、あ、い、い、う、う、え、え、お、お」と言いながら、手を上下に動かしましょう。

どうですか。もっと体が温かくなってきたと思います。そして、みなさん気づいてないかもしれませんが、先ほどよりもみなさんの声が合ってまいりました。同じことを一緒にやることによって、この場でどんどん意思統一がされて、よい気が流れるようになります。ですから、たとえば、みなさんが一生懸命しゃべっているのに、相手はこちらの話を聞いてくれない。そんなときは、一緒に何かをする、というのがいいんです。これを、私たち演芸の世界では“客を舞台に上げる”といいます。そうすることによって、どんどん距離が縮まってまいります。

さて、次は脳内トレーニングの話をしたいと思います。体が元気でも、脳みそがボケてしまってはなんにもなりません。では、ボケないためにはどうしたらいいか。ふだんやらないことをやるというのが一番いいそうです。

最近、なぞかけなんてのが流行ってますが、なぞかけは連想クイズですから、これも脳みそを鍛えるのにいいですね。

たとえば、電子レンジとかけまして、クイズ番組と解きます。その心は、『どちらもボタンを押してかいとう(解凍/回答)します』  こんなふうに、今までバラバラになっていた脳みその情報が一つになる、これが脳を鍛えるのにとてもいいんです。いわば、脳みそに負荷をかけることによって、ボケ防止になるんですね。

落語というのも、ボケ防止には大変いいなんてことがいわれております。どうしてかといいますと、落語というのは使うものはこの扇子と手ぬぐいだけなんです。これで、みなさんにいろいろと想像してもらうわけです。

以前、特養老人ホームに慰問に行ったんですが、寝たきりのおじいちゃん、おばあちゃんが300人いて、看護師さんは5人しかいないんです。このおじいちゃん、おばあちゃんが騒がないようにするためにどうしてるかというと、24時間、水戸黄門のビデオを見せてたんです。気がつくと、「この印籠が目に入らぬか」、「この印籠が目に入らぬか」、これが24時間グルグル回ってる。すると、何も考えなくていいんですね。「あ、またやってる」って。考えなくていいってことは、どういうことになるか。使わなくなると、脳細胞がどんどん消えていくんですね。これが一番怖いんです。

だから、一生懸命想像する、これが脳みそに負荷をかけ、鍛えるのに一番いいんです。

落語で脳内トレーニング

ここで、一つ小咄をやりますんで、見ててください。

「お母ちゃ~ん、パンツ破けた~」
「またかい…!!」

これは、パンツの“股”が破けたから「“又”かい」、これで笑わなきゃいけないっていう、落語のルールがあるわけなんでございますけれども。ここで、みなさんに一番見てもらいたかったのは、私が一人で何役もやってるってことなんですね。

こう上を見て、「お母ちゃ~ん、パンツ破けた~」。これは、だた上を向いてるだけじゃないんです。その視線の先では、怖い顔をしたお母さんがグワッと睨んでるんです。そして、上から見下ろしながら「またかい……!!」と今度はお母さんになります。この短い小咄の中で、お母さんの怖い顔やらしょんぼりした子ども、後ろに広がる貧乏長屋の情景、それらをみなさんが頭の中で3Dのようにして組み立てる。これが落語なんですね。だから、ものすごく頭に負荷がかかります。これが、脳みそを鍛えるのにすごくいいんですね。

さて、私がいろんな講演会を回っていて一番心配しているのが、今、自殺をされる方が非常に多いということです。私の周りにもうつ病の友だちが何人かいますが、心療内科の先生に伺ったところ、うつ病になったり自殺を考えたりしてしまう方というのは、真面目な方が多いそうです。そういう方がどんどん自分を追いつめていって、しまいにパキンと折れて、自ら命を絶ってしまう。

そうならないためにはどうしたらいいか。真面目な性格というのは変えようがありませんから、違う人格を演じてそれになりきる、というのが大変にいいんですね。では、ストレスを発散させるのに一番いい人格は何かというと、バカになることなんです。落語では、バカな人のことを“与太郎さん”といいます。今、大変にストレスの多い世の中でございますが、与太郎を演じることによって違う人格になりきって、思いっきり大きな声で「バカー!」と叫ぶだけで、ずいぶんとストレスがなくなるのではないかと思います。

やはり、自殺をする前にはどうにか止めなきゃいけない。ですから、ぜひ会社の方にもこのことを教えていただいて、もしどこかで「バカー!」という声を聞いたら、「あ、誰かがストレスをため込んでるんだ」と、すぐに察知していただいて、助けてあげていただけたらと思います。

私の話はここまででございます。どうもありがとうございました。



●講師 宮本 英治 氏

トレーニングコーチ。中学時代はハンドボールの選手、高校・大学時代はラグビーの選手として活躍。その後、トレーニングコーチへ転身し、清原和博、松坂大輔、松井稼頭央など日本を代表するプロ野球選手のトレーニングコーチを務め、チームのリーグ優勝に貢献。子どものスポーツトレーニングから高齢者向けの腰痛改善エクササイズまで幅広く指導している。

子どもたちから高齢者まで、さまざまな方の運動を指導していて感じるのは、今、自分の体をコントロールできない人が非常に多いことです。おそらく、ここにいらっしゃるみなさんも、運動不足の方がほとんどでしょう。

たとえば、30代のときの筋力を100とした場合、80代になったらどれくらいになっていると思われますか? 約6割くらいだと思ってください。もっとわかりやすく言うと、30代を過ぎたら、筋力が1年に1%ずつ落ちていくということです。30歳から80歳になるということは、50年経ってますよね? ということは、50%落ちてることになります。つまり、若いときに両足で立っていたのが、片足で立っているということになる。当然、転びやすくなりますよね。これが結局、転倒、骨折、寝たきりなどにつながってくるんです。


だから、今のうちからみなさんも、しっかり筋力をつけておかなきゃいけないんです。では、どのあたりを鍛えないといけないと思いますか? 腹筋、背筋、それから脚もそうですね。これらは、姿勢保持筋、あるいは抗重力筋といいます。私たちは重力に逆らって立ってますから、まずはその筋肉を鍛えなきゃいけない。それが腹筋であり、背筋であり、お尻、太もも、ふくらはぎといった筋肉になるんです。

その中で、特に一番鍛えなきゃいけない筋肉があります。たぶん聞いたことがあると思いますが、今、非常にブームになっている「コア」、体幹です。では、一体どの部分をコアというのか。これが一番大事ですから、しっかり覚えて帰ってください。

コアとは、胴体部分をいいます。首と腕をとり、さらにはお尻周りを残して脚をとってしまって、残った胴体の部分をコアといいます。

もっとわかりやすく言います。僕たちは脊椎動物です。背骨から末梢神経が出ていて、これが体のさまざまな部分を支配しています。ですから、僕たちは絶対に背骨を守らないといけない。この大切な背骨の周りにある筋肉がコアだと思ってください。背中の筋肉もコア。背骨は尾てい骨のところまでありますから、お尻周りもコア。胸の筋肉もコアです。

実は、僕たちが手足を動かすときにも、コアの筋肉から動かしているんです。幹の筋肉はみんな大きいですよね。胸、背中、お尻、すべて大きな筋肉です。そこから運動が連鎖しています。ですから、活動的な生活を送るためには、幹をしっかり鍛えてあげなければいけないんです。

このコアの中で、一部見えない筋肉があります。インナーユニットといって、お腹の中に隠れている筋肉です。

一つが、横隔膜。そして、骨盤底筋。出ているおしっこをキュッと止めるときに働く筋肉です。それから、多裂筋といって、背骨の際についている筋肉。腰痛の人は、これがほとんど機能していません。

そして、一番大事なのが腹横筋です。骨盤と背骨の際をコルセットのように巻いている筋肉で、体の奥の方にあります。その上に体をひねるときの筋肉が斜めについていて、さらにその上にあるのが一般的に腹筋といわれている筋肉です。つまり、腹筋は背骨から一番遠いところにあるので、いくら腹筋を鍛えても腰痛があまり改善しないのです。

大事なのは、この自分の中にあるコルセットを強くしていくことです。これが姿勢の改善、さらには女性が気にしているポッコリお腹、すべてに関係してくるんです。

肩こりもそうです。骨盤が後ろに傾くと背中が丸まります。すると、肩甲骨が開いて、その中にある筋肉が引っ張られます。これだけで肩こりになるんです。ということは、姿勢をよくして肩甲骨が正しい位置にくれば、それだけで肩こりが改善するんです。

まずは、しっかりと正しい姿勢に直す。そうすれば、さまざまな不調は必ず改善していきます。さらに、基礎代謝も上がって、太りづらい体にもつながっていきます。

腹横筋を鍛える基本トレーニング

腹横筋を鍛える基本トレーニング


腹横筋というのはお腹をコルセットのように巻いてますから、収縮するとお腹が小さくなります。つまり、お腹をへこめる筋肉なんです。腹横筋を鍛える方法はけっして難しくありません。

まずは、座る姿勢から変えていきましょう。お尻のところに坐骨というのがありますが、この坐骨の上に真っすぐ体を乗せるようにして座るのが正しい座り方です。みなさんがよくやる姿勢は、骨盤が後ろに傾いて、背中が丸まっている状態です。これは、仙骨という骨で座っている状態で、筋肉を使ってないからすごく楽なんです。でも、骨に対する負担はすごく大きいんですね。

正しくは、坐骨に乗って、上に引っ張られるようなイメージで座ります。この姿勢をとるだけで、腹横筋が使われているんです。

この腹横筋ですが、実は、手を上げるときでも、0.03秒前に収縮するのが腹横筋なんです。足を上げるときも、0.11秒前に収縮するといわれています。つまり、僕たちが日常生活をする中で、最初に収縮するのが腹横筋なのです。だから、これをきちんと鍛えることが大事なんです。

では、基本となるトレーニングを練習してみましょう。まず、坐骨で座って、あごを少し引きます。そのまま軽く鼻から息を吸って、静かに長くフーッと口から息を吐いてください。息を吐いていくにつれて、お腹がだんだん小さくなってくるはずです。

力を入れてハーッと吐いてしまうと、外の筋肉を使ってお腹をへこませることになってしまいます。腹横筋をしっかり使うためには、息を静かにフーッと長く吐く。すると、自然とお腹が締まっていきます。

これを、日常の中でやっていくんです。電車に乗っているときでもいいですし、立った状態でも正しい姿勢をとってこの方法で呼吸すると、それだけで素晴らしいインナーユニットエクササイズになります。騙されたと思って、ぜひやってみてください。

では、白鳥さんを交えて、実技をやってみましょう。

いわゆる一般的な腹筋運動というのは、外側にある筋肉、腹直筋を使っています。先ほど言ったように、お腹の収縮の順番というのは、まず腹横筋が入って、ひねる筋肉が入って、最後に腹直筋が入らなきゃダメなんです。正しい腹筋運動のやり方は、

(1)ひざを軽く曲げて、仰向けに寝る
(2)鼻から息を吸う
(3)口からフーッと息を吐きながら、ゆっくりと上体を起こす
(4)息を吸いながら、ゆっくりと上体を元に戻す

これが、腹横筋というお腹の中の自前のコルセットを強くする腹筋運動です。

ここで注意してほしいのは、お子さんにやらせる場合、頭の後ろに手を当てるのは絶対にやめてください。子どもたちは筋力がないので、このやり方だと腕の力で頭を引っ張ってしまい、首を痛める原因になるからです。ですから、腕は胸の前に置いてください。

それから、上体は上まで上げようとする必要はありません。上まで上体を起こすときには、脚のつけ根の筋肉を使っているんです。腰痛の人がこれをやると、余計に悪化するので気をつけてください。


次に、背筋です。学校の体育でよくやる背筋運動は、あごを上げて、腰を支点にして思い切り上体を起こそうとします。これは、負担が全部腰にくるので危険です。正しいやり方は、

(1)うつ伏せになって、腰のあたりで手を組む
(2)あごを引く
(3)軽く上体を起こす

これだけでいいです。上体を反らす必要はありません。これが腰痛の人でもできる背筋運動です。

スポーツの世界でも、日本は技術の指導は非常にうまいんですが、フィジカルの指導が弱いんですね。そのために、ケガでリタイアしている子どもがいっぱいいます。

先ほどから、腹横筋が大事だと言っていますが、僕たちの時代は、遊びの中で腹横筋が鍛えられていました。山、川、砂利道、いろんなバランスの悪いところを走ったりしながら、バランスをとるために腹横筋が鍛えられていたんです。ところが、今の子どもたちは遊べる環境がないから、全然鍛えられていないんです。ですから、みなさんも含めて、腹横筋を再教育しなきゃいけないんです。

こんなトレーニング方法もあります。

(1)ティッシュでこよりを作る
(2)坐骨でしっかり座る
(3)こよりを手に持って顔の前に置く
(4)こよりに向かってフーッと静かに息を吹きかける

これで、こよりに息が届けば、腹横筋がしっかり使われているということです。子どもや若い女性は、息が届かない人がいっぱいいます。それくらい、今の人はお腹の中を使って息を吐き出すことができないんです。

フィットネスクラブで、マシーンを使って外の筋肉をつけるトレーニングもいいですが、人間の基本機能という意味では、腹横筋をしっかり鍛えることが大切なんです。

メトロノームを考えてください。先端に重さがいくとスピードが遅くなり、根元にいくと早くなります。人間の体も同じで、今の人たちはコアが弱いのに、足は大きくなってますよね。つまり、幹が弱くて、先端が重い体になっている。だから足の動きが遅くなるんです。となると、自分の体をコントロールできないから、ケガにつながる。

競馬の馬なんかを見ると、お尻に近い方が太くて、先端は細いですよね。こんなふうに、幹が太くて、先端が細い体を作ってあげることが大事なんです。


コアを鍛えるための基本ともいえるトレーニングが、スクワットです。キング・オブ・ザ・トレーニングとも呼ばれています。これもぜひやってもらいたいので、正しいやり方をお教えします。

(1)イスの前に立ち、足を腰幅か肩幅くらいに開く
(2)後ろのイスに腰掛けるようなイメージで、ゆっくり股関節を曲げる(実際に腰掛けてもよい)
(3)ゆっくりと元の姿勢に戻る

このとき、膝の位置がつま先より前に出ないように注意してください。それから、よく膝からしゃがもうとする人がいますが、それだと膝に負担がかかるので、股関節を曲げるようにしてください。また、できれば腹横筋を意識しながら、お腹をへこませた状態で繰り返すと、さらに効果的です。

日々、これを意識してやっていると、間違いなくお腹周りが細くなります。人間の筋肉は、片方が縮むと、もう片方が緩むようにできています。なので、お腹の中がキューッと縮むと、お腹が安定して、外側の筋肉がリラックスします。すると、より動きやすい体になるんです。まずは中から鍛える、これが基本です。

歩くときにもお腹を意識して

最後に、何か質問はありますか?

参加者「正しい歩き方というのがあれば、教えてください」

歩くときにもお腹を意識して

基本的には、先ほどの正しい姿勢と一緒です。

(1)お腹に軽く力を入れる
(2)肩甲骨を寄せるようにして、肩をやや後ろに引く
(3)胸の中央あたり(上半身の重心)が、正面の遠くにロープでつながっているようにイメージする
(4)足を前に出し、つま先が地面に着地すると同時に、つま先の真上に股関節がくるようにする

この繰り返しです。お腹の力を抜いてしまうと、腰が反りやすくなってしまうので、お腹は常に軽く締めておきます。ちょっとへこめるだけでOKです。そして、足を出したら必ずその上にのる。すると、重心が前に行こうとするので、自然と逆の足が前に出ます。この延長がランニングです。腕を振るときは、肩甲骨のところにある広背筋とお尻の筋肉が斜めに連動しているので、それを意識してください。

今日、紹介したトレーニングは、職場や自宅でも手軽にできるものばかりです。便利な世の中で、ほとんど歩かない、運動もしない、という生活を送っている人は、ある意味、介護の予備軍だと思うんです。そうならないためにも、できることからでかまいません。日常生活の中で、お腹をフゥッとへこませることを意識する。それだけでも十分です。人間が本来持っている腹横筋を再教育して、いくつになっても活動的な日々を過ごしてください。

講演後、TJK保健師より特定健診・特定保健指導について説明を行い、直営健診センターでの受診促進をお願いして終了しました。
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