健康保険適用外の療養を受けるとき
健康保険では原則として、保険の適用範囲外の療養を受けると、適用範囲内の療養にかかる費用も含めて、医療費の全額が自己負担となります。ただし、医療技術の進歩や患者のニーズの多様化に対応するために、保険適用外の療養を受ける場合でも、一定の条件を満たした「評価療養」(※1)と「選定療養」(※2)については保険との併用が認められています。保険のワクを超える部分についての差額は自己負担しますが、保険が適用される療養にかかる費用は保険診療に準じた保険給付が受けられます。この保険が適用される部分は、年齢に応じた割合を自己負担して、残額は「保険外併用療養費」として健康保険で負担します。
厚生労働大臣の定める評価療養および選定療養
※1 評価療養…医学的な価値が定まっていない治療法や医薬品など、将来的に保険導入の評価をされる療養
- 大学病院などの特定機能病院で実施する先進医療(高度医療を含む)
- 医薬品の治験にかかる診療
- 医療機器の治験にかかる診療
- 薬事基準収載前の承認医薬品の投与
- 保険適用前の承認医療機器の使用
- 薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用
※2 選定療養…特別な療養環境など患者が自ら希望して選ぶ療養で、保険導入を前提としない療養
- 特別の療養環境の提供(差額ベッドへの入院)
- 予約診療
- 時間外の診療
- 前歯部の材料差額
- 金属床総義歯
- 特定機能病院・500床以上の病院の未紹介患者の初診
- 特定機能病院・500床以上の病院の未紹介患者の再診
- 制限回数を超える医療行為
- 180日を超える入院
- 小児う蝕(むし歯)の治療終了後の継続管理
入院時の差額ベッドとは
入院の室料も健康保険の適用範囲内ですが、個室などふつうの病室より条件のよい病室(いわゆる差額ベッド)に入ると、その差額を負担しなければなりません。
個室または2人部屋だけでなく、3~4人部屋でも、次のような条件を満たせば、差額ベッドとして認められることになっています。大部屋をベニヤ板で間仕切りした個室部屋、新築、日当たりのよい部屋などは、差額ベッドとは認められません。
- 病室の病床数が4床以下
- 病室の面積が1人当たり6.4平方メートル以上
- 病床ごとにプライバシーの確保をはかるための設備を備えている
- 患者個人用の収納設備や、机、イス、照明が設置されている
なお、差額を支払うのは患者本人が差額ベッドを希望したときに限られます。
歯の治療を受ける場合
歯の治療は、通常すべて健康保険で受けられますが、治療法や治療に使用する材料等によっては、健康保険が使えない場合があります。ただし、歯の治療も、保険診療と保険外診療(自費診療)の2本建てになっており、前歯(中切歯、側切歯、犬歯の各6本)については、健康保険で認められていない材料を使っても健康保険との差額を負担すればよい場合もあります。
保険外診療を希望しないで、すべて健康保険の範囲内で治療してもらいたいときは、事前に医師にその旨を伝えてください。なお、インプラント治療は自費扱いとなります。
健康保険適用範囲内の歯の治療法と材料
治療法 | 健康保険の適用される材料 | 備考 |
---|---|---|
充てん |
銀錫アマルガム、硅酸セメント、硅燐酸セメント、レジン(合成樹脂)、複合レジン、グラスアイオノマーセメント等 |
金箔を使うと自費診療になる |
鋳造歯冠修復(インレー) |
金銀パラジウム合金、銀合金 |
― |
ジャケット冠 |
レジン冠 |
ポーセレンは自費診療になる |
ブリッジ |
人工歯にはレジン歯と陶歯、金属材料には14K金合金(前歯のみ)、金銀パラジウム合金、銀合金、ニッケルクロム合金などが使える |
材料に14Kを超える金合金や白金加金を使うと自費診療になる |
有床義歯(入れ歯) |
ふつうの入れ歯はすべて健康保険で入れられる |
床や鉤の部分に特別の金属(金合金や白金加金、または植込み式の義歯) |
お問い合わせ先
東京都情報サービス産業健康保険組合
給付グループ
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