育児休業中の保険料免除要件の見直しについて

令和4年10月1日より、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律の一部が施行され、関係省令が施行されることにより、育児休業中の保険料免除の要件が以下のように見直されることとなりました。

育児休業等保険料免除要件の変更点

  1. 月中に14 日以上の育児休業等を取得した場合にも標準報酬月額に係る保険料を免除する。
  2. 連続して1ヶ月超の育児休業等の取得者に限り、賞与保険料の免除対象とする。
  3. 出生時育児休業制度(産後パパ育休)の保険料免除対象追加

月中に14 日以上の育児休業等を取得した場合の保険料免除

月途中に短期間の育児休業等を取得した場合に保険料が免除されないことへの対応として、育児休業等開始日の属する月については、その月の末日が育児休業等期間中である場合に加えて、その月中に14 日以上の育児休業等を取得した場合にも標準報酬月額に係る保険料を免除することとなります。

賞与保険料の免除対象の変更

賞与月に育児休業等の取得が多いといった偏りが生じている可能性があることへの対応として、育児休業等が短期間であるほど、賞与保険料の免除を目的として育児休業等取得月を選択する誘因が働きやすいため、連続して1ヶ月超の育児休業等の取得者に限り、賞与保険料の免除対象とすることとなりました。

出生時育児休業制度(産後パパ育休)の保険料免除対象追加

出生時育児休業制度は、令和4年10月1日より施行される育児・介護休業法改正により、育児休業の一類型として創設される制度で、この度の健康保険法関係省令の改正により、健康保険料の免除の対象に追加されました。

出生時育児休業時の保険料免除の概要

  制度概要 保険料免除のポイント
対象者 主に配偶者が出産した被保険者  
対象期間
取得可能日数
子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能 休業が月の末日を含むか、取得日数が14日以上となる場合に月額の保険料が免除される
申出期限 原則休業の2週間前までに事業主へ申出 育児休業開始以降から終了後1か月以内に健保組合に申請
分割取得 育児休業と別に、分割して2回取得可能
(初めにまとめて申し出ることが必要)
都度申請が必要
但し、育児休業等開始年月日と育児休業等終了年月日の翌日が同じ月に属する複数の育児休業等を取得した場合で、それぞれの育児休業等取得日数を通算し、14 日以上となる場合には、まとめて提出することを可能とする
休業中の就労 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能 就業日数については、「14日以上」の判定から除く

・育児・介護休業法の改正内容について、詳しくは「育児・介護休業法 令和3年(2021年)改正内容の解説(厚生労働省)」にて詳しく解説されています

届出時における留意点

①届出の提出日

同月内に複数回に分けて育児休業等を取得する場合、その月に取得する最後の育児休業等の届出時にまとめて届出いただくことが可能です。
※育児休業等の終了後1月以内に申出書を提出する場合には、遅延理由書の添付は不要です。

②育児休業等取得日数

育児休業等の開始年月日と終了年月日の翌日が同月内である場合、育児休業等の日数の記載が必要になります。
※「就労予定日数」は育児休業等の日数に算入されません。
※土日等の休日など労務に服さない日も含め、14日以上の日数が必要です。
※同月内に複数回の育児休業を取得する場合は、合算した日数の記載が必要になります。

③就労予定日数

出生時育児休業(産後パパ育休)期間中に労働者と事業主の間で事前に調整して就業を行う場合、その日数の記載が必要になります。
※ 育児休業等取得日数の算定に当たって、就業日数の計算方法は以下のとおりです。
・日単位の場合はその日数
・時間単位の場合はその時間の合計を一日の所定労働時間で除した数(1未満の数は切り捨て)
例)就労時間が合計20時間(一日の所定労働時間が8時間)であった場合、(20÷8=2.5)となり、就労予定日数は「2日」となります。

④育休等取得内訳

同月内に育休等を複数回取得した場合、取得したそれぞれの育休等の期間の記載が必要になります。

育児休業等取得者申出書

健康保険(正のみ)1枚

よくあるご質問

育児休業等中の保険料免除要件の改正について (14)

育介法に規定する企業による育児休業に関する制度に準ずる措置に該当する場合は、引き続き、保険料免除の対象となります。

労使間で事前調整した上で出生時育児休業期間中に就業した日数です。具体的には育介法9条の5で定められています。

14 日の要件による免除の仕組みは、開始日と終了予定日の翌日が同一月に属する育児休業等についてのみ適用されます。したがって、「前月以前から取得している育児休業等」の最終月の保険料は、その月の月末日が育児休業等期間中であるか、その月の月中に当該育児休業等とは連続しない別途の育児休業等(14日以上)を取得している場合にのみ免除となり、ご質問の内容では免除になりません。

○開始日から終了予定日までの日数(当該育児休業等が出生時育児休業である場合、「就業日数」を除いた日数)を当該育児休業等に係る「育児休業等日数」とします。

○月内に開始日と終了予定日の翌日がともに属する育児休業等が複数ある場合、当該月の「合計育児休業等日数」が14 日以上であれば(休業は連続していなくても)、当該月の保険料が免除されます。

育児休業等日数は、ある育児休業等の開始日から終了予定日までの日数(当該育児休業等が出生時育児休業である場合、開始日から終了予定日までの日数から就業日数を除いた日数)をいい、その間に土日等の休日、有給休暇など労務に服さない日が含まれていても、育児休業等日数の算定に当たり差し引くことはせず、育児休業等日数に含まれます。

育児休業等日数の算定に当たって、就業日数が、
・ 日単位の場合にはその日数を「就業日数」として、
・ 時間単位の場合にはその時間数を1日の所定労働時間で除した数(1未満の数は切り捨て)を「就業日数」として、 それぞれ控除します。

(例)就業日数が時間単位の場合

出産日 :R4.10.1
休業申請期間 :R4.10.1~R4.10.28 4週間(28 日)
就業日数 :40 時間(40÷7=5.7814・・・であることから、5 日)
所定労働時間 :7 時間
育児休業等日数: 28 日-5日=23 日

23 日 ≧ 14 日であるため、10 月分の保険料は免除となります。

労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に、一時的・臨時的(災害や突発的な事態への対応等、あらかじめ予定していない場合)に、その事業主の下で就労可能とされているため、こうした一時的・臨時的な就労については、育児休業等日数の算定から除く必要ありません。 ただし、育児休業等開始当初よりあらかじめ決められた日に勤務するような場合は一時的・臨時的な就労には該当せず、育児休業等をしていることとはなりません。

賞与保険料の免除対象外とする1月以下の育児休業等期間の算定については、暦によって計算します(例えば、11 月16 日から12 月15 日まで育児休業等の場合、育児休業等期間はちょうど1月であるため、賞与保険料の免除の対象外となります)。

賞与保険料の免除の基準となる「1月超」については、暦日で判定することとしており、出生時育児休業における就業日数及び一時的・臨時的な就労は除かないものとなります。

連続して複数回の育児休業等を取得している場合は、1つの育児休業等とみなすこととなるため、合算して育児休業等期間の算定に含めることとなります。

令和4年10 月1日以降に取得する育児休業等については、育児休業等期間終了後であっても、一定期間(育児休業等の終了日から起算して暦による計算で1 ヶ月以内)であれば理由書等の添付がなくても、受け付け可能となります。一定期間経過後の届出については、理由書や出勤簿の提出が必要になります。

区別して記載する必要はありません。

複数回の育児休業等の取得届出をまとめて提出するのではなく、育児休業等を取得する都度提出します。
○ ただし、開始年月日と終了年月日の翌日が同じ月に属する複数の育児休業等を取得した場合で、通算して、14 日以上となる場合には、複数回の育児休業等の取得届出をまとめて提出することが可能です。この場合、それぞれの育児休業等開始年月日、育児休業等終了年月日、育児休業等取得日数及び就業日数を取得届出に記載します。

○ 施行日(令和4年10 月1日)以後に開始した育児休業等についてのみ適用になります。

○ 例えば、
育児休業等① R4.9.15~R4.10.10
育児休業等② R4.10.11~R4.10.31
となっている場合について、育児休業等①は改正法施行前に開始した育児休業等であり、改正前の規定が適用されます。

○ このため、育児休業等①・②が連続していても、1つの育児休業等としてみなされず、R4.9の賞与は改正前の規定により免除となりますが、R4.10 の賞与は免除になりません。

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