ここがポイント

  • 出産のために仕事を休み、給与が支給されないときに生活保障給付として請求することができる給付金です
  • 請求期間は産前42日前から産後56日目までの範囲となります
  • 請求期間中に資格を喪失したとき、要件を満たすと継続して請求できる場合があります

出産のために仕事を休み、給与が支給されないときに生活保障給付として請求することができる給付金です

 女性被保険者が出産のために仕事を休み、会社から給与が支給されないときに生活保障給付として請求することができるのが「出産手当金」です。

【支給要件】

 妊娠4ヵ月(85日/13週)以降の出産であること。週数を満たす場合、生産・死産・流産・人工妊娠中絶(母体の健康を著しく害するおそれがあるという理由で医師が必要と認めた場合に限ります)にかかわらず請求することができます。

Q
出産のために仕事を休みましたがすべての期間が有給休暇でした。出産手当金を請求することができますか?
A

会社から給与が支給されないときに生活保障給付として請求できる給付金であるため、有給休暇を取得したときは請求することはできません。
ただし、会社から給与の全部または一部が支給されているときに、TJKから支給される出産手当金の日額と有給休暇の日額を比較し出産手当金のほうが金額が多いときは、差額を請求できます。
出産手当金の日額については、こちらをご参照ください。

請求期間は産前42日前から産後56日目までの範囲となります

 出産手当金は産前・産後休暇の期間のうちで実際に仕事を休み、会社から給与が支給されなかった日が対象です。請求期間中であっても出勤をした日や、有給休暇を取得した日については請求することはできません(有給休暇を取得し会社から給与の全部または一部が支給されているときに、出産手当金の日額と有給休暇の日額を比較し出産手当金のほうが金額が多いときは差額を請求することができます)。

  • 出産日は出産日以前の期間に含まれます。
  • 多胎妊娠のときは出産日以前98日間、出産日後56日間となります。
  • 具体的に出産日・出産予定日から請求期間を確認したい方は「請求期間計算ツール」をご参照ください。

なお、出産予定日よりも早く出産したときや遅れて出産したときは以下のように請求期間を数えます。

●出産予定日よりも早く出産したとき

 出産予定日がいつであったかに関わらず、出産日を基準に産前・産後期間を数えます。

Q
出産予定日よりも早く出産しました。出産日を基準として請求期間を計算し直したところ、出勤日や有給休暇の日が含まれています。請求期間はどのようになりますか?
A

出産手当金は産前・産後休暇の期間のうちで実際に仕事を休み、会社から給与が支給されなかった日が対象です。出産日が早まったことにより請求期間が前倒しとなり、出勤日や有給休暇の日が含まれるときは、その日を除いて請求することとなります(有給休暇を取得し会社から給与の全部または一部が支給されているときに、出産手当金の日額と有給休暇の日額を比較し出産手当金のほうが金額が多いときは差額を請求することができます)。

【例】10月5日が出産予定日であったが、10月1日に出産したとき
10月1日を基準に産前・産後期間を数えると、8月21日から11月26日までの98日間。8月21日から8月24日まで出勤していた場合、請求期間は8月25日から11月26日までの94日間となります。

●出産予定日よりも遅れて出産したとき

 出産予定日以前42日間に、出産予定日から出産日までの日数(α日)を足した期間を産前期間とし、産後期間と合わせて請求期間を数えます。

Q
出産予定日よりも遅れて出産しました。請求期間はどのようになりますか?
A

出産予定日よりも遅れて出産したときは、遅れた日数分を足して請求期間を計算します。

【例】10月5日が出産予定日であったが、10月8日に出産したとき
10月5日の42日前から、10月8日の翌日から56日後まで=8月25日から12月3日までの101日間となります。

出産手当金の支給額

 出産手当金はみなさまの標準報酬月額に基づき支給額を決定します。計算方法は1、2のうちいずれかあてはまるものを使用します。

●TJKに被保険者として1年以上加入をしているとき
(=支給開始日以前に12ヵ月の標準報酬月額があるとき)

 当組合に1年以上加入をしている方が出産手当金を請求するときは「計算方法1」を使用します。なお、途中で転職していても加入する健保組合が同じTJKであれば通算されますが、他の社会保険の加入期間があるときは通算されず「計算方法2」を使用します。

TJKに被保険者として1年以上加入をしている場合の支給額の事例

  • 女性被保険者Aさんが出産手当金を請求します。会社から給与の全部が支給されないとき、出産手当金の支給額を確認しましょう。

1.支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30日(※)で割り、標準報酬日額を算出します。

(30万円×7ヵ月+32万円×5ヵ月) ÷ 12ヵ月 ÷ 30日
= 10,277.77…円
≒ 10,280円(10円未満四捨五入)
※暦日数が31日や28日の月であってもひと月の日数は30日とみなして計算します。

2. 「1.」で算出した標準報酬日額の2/3が1日当たりのAさんの支給額となります。

10,280円 × 2/3 = 6,853.33…円
≒ 6,853円(1円未満四捨五入)

3. 請求日数が98日間のため、Aさんの支給額は

6,853円×98日
= 671,594円 となります。

●支給開始日以前のTJKでの加入期間が12ヵ月に満たないとき

 他の社会保険の加入期間がある等で、支給開始日以前に当組合での12ヵ月の標準報酬月額がないときは「計算方法2」を使用します。

  1. 参考…TJK全被保険者の令和5年9月30日現在の標準報酬月額の平均額38万円
    ※支給開始日…出産手当金が支給される初日
Q
他の社会保険からTJKに加入しましたが、TJKでの加入期間が12ヵ月未満です。以前の会社のほうが標準報酬月額が高かったため、他の社会保険の標準報酬月額を通算してほしいです。可能ですか?
A

健康保険法により「被保険者が現に属する保険者等(=TJK)により定められた標準報酬月額に限る」とあることから、個人の希望により他の社会保険の標準報酬月額を通算することはできません。
「計算方法2」の❶❷いずれか低い額により計算することとなります。

支給停止および支給調整について

 出産手当金は次のとき支給停止または支給調整されます。

1.会社から給与の全部または一部が支給されるとき

 出産手当金は産前・産後休暇の期間のうちで実際に仕事を休み、会社から給与が支給されなかった日が対象のため、請求期間中であっても出勤日や有給休暇を取得した日については請求対象外です。
ただし、有給休暇を取得し会社から給与の全部または一部が支給されているときに、出産手当金の日額と有給休暇の日額を比較し出産手当金のほうが金額が多いときは差額を請求することができます。

Q
請求期間中(産前)に短時間勤務で出勤しました。本来の給与額を下回った額の支給であるため、出産手当金の差額を請求できますか?
A

差額を請求することができるのは、請求期間中に会社を休んでおり、休んだ日に会社から支給された給与の日額と出産手当金の日額を比較し出産手当金のほうが金額が多い場合です。出勤し給与が支給されている日については支給額に関わらず請求対象外となります。

2.傷病手当金と出産手当金を同時に請求できるとき

 傷病手当金と出産手当金を同時に請求できるときは出産手当金を優先して請求します。ただし、傷病手当金のほうが出産手当金の金額よりも多いときは、その差額を請求することができます。
なお、傷病手当金と出産手当金の日額は「支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額」を元に算出します。傷病手当金と出産手当金の支給開始日が異なることにより日額に差額が生じ、傷病手当金のほうが支給額が多いときは差額を請求してください。

請求期間中に資格を喪失したとき、要件を満たすと継続して請求できる場合があります

 以下の要件をすべて満たすとき、資格喪失後もTJKへ出産手当金を請求できる場合があります。

【資格喪失後の要件】(次のすべてを満たすとき)

  1. 継続して1年以上被保険者期間のある女性被保険者であったとき
    TJKでの資格喪失日まで、1日も空かず働く本人としての社会保険の加入期間が1年以上ある方が対象となります。
    転職等で短期間に加入する保険者が変更している場合は通算することができます。
    ただし、国民健康保険・共済組合・任意継続被保険者の加入期間は通算することができません。
  2. 資格喪失時に出産手当金を受給しているか、または受給できる状態であったとき 在職時から資格喪失後以降も請求期間が継続する方が対象となります。そのため、退職日にたとえ短時間であっても出勤をした方は請求期間が継続されず、資格喪失後の請求は対象外となります。
  • 「受給できる状態」…請求期間中に会社を休んでいるが有給休暇であるため出産手当金の支給がない方
Q
出産手当金を受給中に会社を退職します。業務の引継ぎのため退職日は出勤する予定ですが、資格を喪失した後も引き続き出産手当金を請求することができますか?
A

TJKの資格を喪失した後も出産手当金を請求するときは、【資格喪失後の要件】をすべて満たす必要があります。要件「2」に記載があるとおり退職日に出勤をしたときは請求期間が継続されないことから資格を喪失した後の期間は請求対象外となります。

手続き方法

1.請求書を印刷し「被保険者が記入するところ」へ記入する。
医療機関等で「医師・助産師が意見を書くところ」に証明をいただき、会社へ提出する。
添付書類は必要な方のみ用意し、請求書と一緒に提出する。

TJKへの提出書類

出産手当金請求書  (A4・片面印刷・2枚組)

※黒ボールペンでご記入ください。(文字の消せるボールペン不可)
※請求書は両面印刷ではなく片面印刷でご提出ください

添付書類

  • 在職期間の請求のときは、出勤簿・賃金台帳(写し可)
●海外で出産したとき
  • 海外の医療機関等の医師または助産師が交付する「医師・助産師が意見を書くところ」と同内容の証明書(原本)
●資格喪失後の請求をする方で、TJKの加入期間は1年未満だが他の健保組合での加入期間 (ただし国保・共済組合・任意継続被保険者の加入期間を除く) を通算すると「継続して1年以上」の被保険者期間を満たすとき(資格喪失後の要件
  • 以前加入していた健保組合の発行による「資格期間を証明する書類」(原本)

申請する際の注意事項

■海外で出産したときの添付書類について

  • 出産手当金請求書の「医師・助産師が意見を書くところ」に直接証明をいただくことが難しいときにご用意ください。証明が記載されているときは別紙のご提出は不要です。
  • 医師の証明欄等が外国語のときは、翻訳者の住所・氏名・連絡先を記載した翻訳書を添付してください。

■資格喪失後の請求をするときの添付書類について

  • 「他の健保組合の加入期間」において国保・共済組合・任意継続被保険者の加入期間は通算することができません。
  • 以前加入していた健保組合が発行する「資格期間を証明する書類」(原本)の書式については、以前加入していた健保組合へお問い合わせください。
  • ※上記以外であっても内容審査に必要なときは別途、添付書類の提出をお願いする場合があります

■保険給付金の振込先について

請求書1枚目の下段「保険給付金受取先」欄の「委任状」または「金融機関」のいずれか一方を記入してください。

自宅にプリンターがないなど申請書の印刷ができないときは下記お問い合わせ先までご連絡ください。郵送またはFAXで申請書をお送りします。

2.会社にて「事業主が証明するところ」へ記入する。
記入後、会社より請求書と添付書類を郵送または組合窓口へ提出する。

添付書類

  • 請求期間にかかる 出勤簿の写し、賃金台帳の写し

証明する際の注意事項

※黒ボールペンでご記入ください。(文字の消せるボールペン不可)

■出勤簿・賃金台帳について

※出勤簿と賃金台帳は、請求書に記載された「請求期間」に出勤していないこと・給与の支給がない(または一部支給である)こと、また「事業主が記入するところ」のA~D欄の記載に相違がないことを確認するために添付していただきます。上記が確認できるものをご提出ください。

  • 出勤簿と賃金台帳は給与の締日および支払日を経過した後に発行したものをご提出ください。
  • 出勤簿は「有休・欠勤・出勤」等の印字のあるものをご提出ください。
  • 交通費や手当等を前払しているときは、支給月の賃金台帳の写しを併せて添付してください。
  • 欠勤控除を翌月以降に行うときは欠勤控除をした月の賃金台帳の写しを併せて添付してください。
  • 本人から欠勤控除分の返金を受けているが賃金台帳に印字がないときは、返金されたことがわかる書類(入金伝票・領収書など)を添付してください。
  • 出産手当金の請求者が役員のため出勤簿・賃金台帳の作成がないときは、請求期間に役員報酬を支給しないことが記載された役員会議事録等の写しを添付してください。

注意事項を併せてご参照ください。
※上記以外であっても内容審査に必要なときは別途、添付書類の提出をお願いする場合があります。

提出先(郵送・窓口)

〒102-8017
東京都千代田区富士見1-12-8 TJKプラザ
東京都情報サービス産業健康保険組合
給付グループ 宛

3.TJKへ提出後、2~3週間程度でお振込いたします。
給付額等については郵送します「給付金支給決定通知書」をご確認ください。

※上記は書類に不備がない場合の振込目安です。記入や添付書類が不足する場合は振込までにお時間がかかる場合があります。

※「給付金支給決定通知書」は振込日当日以降、郵送で届きます。
受取先に会社を指定した場合は会社へ、個人口座を指定した場合は請求者のご自宅へ郵送します。

自宅にプリンターがないなど申請書の印刷ができないときは下記お問い合わせ先までご連絡ください。郵送またはFAXで申請書をお送りします。

よくあるご質問

Q1
被扶養者としてTJKに加入している妻が出産しました。出産手当金を請求することができますか。
A1

出産手当金は、女性被保険者が出産のために仕事を休み、会社から給与が支給されないときに生活保障給付として請求することができる給付金です。被扶養者として加入している方は請求対象外となります。

Q2
計画分娩のため、出産予定日が妊娠当初と変更になりました。請求書にはどちらの日付を記入すればよいですか。
A2

計画分娩等で出産予定日が当初と変更となった場合でも、初回健診時に医師または助産師から伝達された予定日を記入してください。また「被保険者の記入するところ」と「医師または助産師が意見を書くところ」の出産予定日の記入が同一であることを提出する前にご確認ください。

Q3
出産手当金は出産後、すぐに提出することができますか。提出時期を教えてください。
A3

出産手当金は、基本的に産前・産後の請求期間が終了し、請求期間中の出勤簿・賃金台帳の準備ができてからのご提出となります。ただし、例外として産前期間(出産日まで)と産後期間を分け、別々に請求することもできます。この場合はそれぞれの期間の出勤簿・賃金台帳が準備できてからのご提出となります。

お問い合わせ先

東京都情報サービス産業健康保険組合
給付グループ
〒102-8017 東京都千代田区富士見1-12-8 TJKプラザ
TEL 03-3239-9817 FAX 03-3239-9735

不服の申し立て・時効

不服の申し立て・時効については、こちらをご覧ください。