健康保険法等の制度改正に伴い、平成28年4月1日より施行されます「標準報酬月額・標準賞与額の上限引き上げ」、「傷病手当金・出産手当金の支給額の算定方法の見直し」等の改正内容および、平成28年10月1日より施行されます「被扶養者認定に関する「兄姉」の同居要件の廃止」、「短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大について」の改正内容について下記のとおり、お知らせいたします。
<改正一覧>
施行日 | 項目 | |
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平成28年4月1日 | 1. 標準報酬月額・標準賞与額の上限の引き上げ | 詳細 |
2. 傷病手当金・出産手当金の支給額(標準報酬日額)算定方法の見直し | 詳細 | |
3. 入院時の食事負担額の段階的な引き上げ | 詳細 | |
4. 紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担の義務化について | 詳細 | |
5. 患者申出療養の創設 | 詳細 | |
6. 海外療養費の支給申請に関する提出書類の変更 | 詳細 | |
平成28年10月1日 | 7. 短時間労働者の健康保険・厚生年金保険への適用拡大 | 詳細 |
8. 兄姉の扶養認定における同居要件の撤廃 | 詳細 |
平成28年4月1日施行
1. 標準報酬月額・標準賞与額の上限の引き上げ
現在「第1等級(58,000円)~第47等級(1,210,000円)の全47等級」となっていますが、下記の3等級が追加され、「第1等級(58,000円)~第50等級(1,390,000円)の全50等級」に引き上げられます。

法律改正Q&A
(問1) 法改正により追加された標準報酬月額の等級の該当者は届出が必要ですか。
(回答) 必要ありません。健康保険組合の職権で改定しますので、新たな届出の提出の必要はありません。
※該当者については、事前にTJKより事業所あてに通知をお送りします。通知の発送時期については、ホームページ・けんぽNEWS等でお知らせします。
(問2) 随時改定により、平成28年4月に標準報酬月額を改定する場合であっても、(問1)に基づき健康保険組合が職権改定を行いますか。
(回答) 固定的賃金の変動により2等級差が生じ、標準報酬月額が4月に改定される方については、随時改定が優先されます。その場合、TJKに月額変更届の提出が必要です。
(問3) 随時改定に関して、第49等級(133万円)から最高等級へと改定する際に、3ヵ月平均の報酬月額がいくらであれば、1等級差の月額変更に該当しますか。
(回答)
①現在の標準報酬月額 | 昇(降)給 | ②3ヵ月平均の 報酬月額 |
③改定後の 標準報酬月額 |
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50等級(139万円)で報酬月額が 141.5万円以上 |
降給 | 135.5万円未満 | 49等級 (133万円) |
49等級(133万円) | 昇給 | 141.5万円以上 | 50等級 (139万円) |
①の標準報酬月額の人が昇給または降給により、3ヵ月平均の報酬月額が②の額になった場合は、1等級差であっても③の標準報酬月額に随時改定する取扱いになります。
(問4) 改正後の標準賞与額は573万円が年度の上限ですが、平成28年4月以降に受けた賞与を累計するのですか。
(回答) そのとおりです。
2. 傷病手当金・出産手当金の支給額(標準報酬日額)算定方法の見直し
平成28年4月1日分より傷病手当金および出産手当金の支給額の算定方法が下記のとおり変更されます。
(1) 【改正前】平成28年3月31日までの対象日
標準報酬月額の1/30(標準報酬日額)の2/3
(例)標準報酬月額 320千円 320,000÷30(日)※1×2/3※2=7,113円(支給日額)
- ※1 「30日」で割った時点で1の位を四捨五入します(以降の計算も同様)
- ※2 「2/3」で計算した金額に小数点がある場合小数点第1位を四捨五入します(以降の計算も同様)
(2) 【改正後】平成28年4月1日以降の対象日
① TJKの被保険者期間が1年以上の方
手当金の「支給を始める日」以前12ヵ月間の標準報酬月額の平均額の1/30(標準報酬日額)の2/3

② TJKの被保険者期間が1年未満の方
- A: TJK加入期間の標準報酬月額の平均額の1/30(標準報酬日額)の2/3
- B: 380千円(TJK全被保険者の前年度9月30日現在の平均標準報酬月額)の1/30(標準報酬日額)の2/3
- ※A・Bのいずれか低いほうで決定

傷病手当金と出産手当金の「支給を始める日」を基準に支給額を算定するため、金額が異なることがあります。

法律改正Q&A
(問1) 傷病手当金は「支給を始める日」の属する月以前12ヵ月の標準報酬月額を平均することとされていますが、一旦傷病手当金の額が決定すれば、その後標準報酬月額の変動があっても、変更しないのですか。
(回答) 同一の病気やケガに対する傷病手当金の額は「支給を始める日」の金額で固定されますので、変更されることはありません。
(問2) 平成28年4月より前から傷病手当金を受給していますが、平成28年4月からの支給額は変わりますか。
(回答) これまでに傷病手当金を受給していた方も平成28年4月1日支給分から、新しい計算方法で支給金額を計算します。
(問3) 1つの傷病について傷病手当金の支給を受けている期間中に、別の傷病についても傷病手当金を受けられる場合、金額はどうなりますか。
(回答) 後の傷病にかかる待期期間の翌日を「後の傷病の支給を始める日」として額を算定して、前の傷病にかかる傷病手当金の額と比較して多い方を支給します。前の傷病にかかる傷病手当金が終了しても、後の傷病にかかる傷病手当金の金額について額を再度算定することはありません。
(問4) 傷病手当金と出産手当金の請求期間が重なった場合の支給額はどうなりますか。
(回答) 傷病手当金と出産手当金、それぞれの「支給を始める日」を基準にして支給額を算定しますので、金額が相違することがあります。その期間は、傷病手当金、出産手当金のいずれか高い方の額が支給されます。
3.入院時の食事負担額の段階的な引き上げ
病気やケガ等で病院に入院した際に、負担する食事代の1食あたりの自己負担額が下記の通り引き上げられます。平成28年4月1日から1食当たり360円に変更となります。また、平成30年4月1日からは460円に変更となる予定です。

4. 紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担の義務化について
紹介状なしで大病院などを受診する場合、現在は一部の病院にて受診時に特別料金として徴収されるケースがありますが、平成28年4月1日より、大病院(特定機能病院等)を受診する場合、定額の負担(選定療養)が原則義務化されます。なお、定額の負担額については、初診で5,000円以上、再診で2,500円以上となる予定です。
□ 特定機能病院等とは
高度な医療を提供する大学病院などの、厚生労働大臣に承認された特定機能病院や、ベッド数が500床以上(予定)を有する病院を指します。

5. 患者申出療養の創設
困難な病気を治療中の場合などに、国内未承認の医薬品や医療機器等を使用した診療を迅速に保険外併用療養費として利用したいとの患者の方の思いに応えるため、患者の方からの申出により治療の選択肢を拡大する制度が平成28年4月1日より創設されます。
□ 保険外併用療養費とは
健康保険では、保険が適用されない保険外診療があると、保険が適用される診療を含めて医療費が全額自己負担となります。ただし、保険外診療を受ける場合でも、国で定める療養については保険診療との併用が認めれており、保険が適用される診療と保険外診療を併用して療養を受けることができる制度です。

6. 海外療養費の支給申請に関する提出書類の変更
海外に渡航した事実がないにもかかわらず、海外療養費を請求する事案等を防ぐ観点から、法改正により平成28年4月1日以降に海外療養費の支給申請をされる場合は、下記2点(①・②)の提出が義務付けられます。
①パスポートもしくは航空券その他海外に渡航した事実が確認できる書類の写し
②海外の医療機関等に対して照会を行うことの同意書
同意書はこちらからダウンロードできます。
平成28年10月1日施行
7. 短時間労働者の健康保険・厚生年金保険への適用拡大
平成28年10月1日から、特定適用事業所(従業員数常時500人を超える事業所)に勤務する短時間労働者は、新たに社会保険の適用対象となります。
□ 特定適用事業所とは
事業所の被保険者数の合計が常時500人を超える(※)事業所が該当します。
- ※1年のうち6ヶ月以上、被保険者数の合計が500人を越えることが見込まれる場合
□ 短時間労働者とは
勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、以下の項目すべてに該当する方
- ①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- ②賃金の月額が88,000円(年収106万円)以上であること
- ※月額には臨時に支払われる賞与・時間外労働の割り増し賃金・通勤手当・家族手当などは算入しません(社会保険適用となり、資格取得届を提出される際の標準報酬月額は、手当て等をすべて含めた金額を届出いただきます)。
- ③適用事業所での勤務期間が1年以上見込まれること
- ④学生でないこと
- ※休学中の方や大学・高等学校の定時制(夜間等)課程の方は除きます。
8. 兄姉の扶養認定における同居要件の撤廃
兄姉の扶養認定において、被保険者と同居していることが条件となっておりましたが、この同居要件が撤廃されます。平成28年10月以降は兄弟姉妹の区別なく、「生計維持関係」の条件のみとなります。