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第121回健康教室 部下の本気に火をつける 情熱のリーダーシップ!

 平成29年11月16日(木)〜17日(金)、TJK箱根の森において、第121回健康教室を開催しました。今回は宿泊型で、1日目は(有)香取感動マネジメント代表の香取貴信氏を講師にお招きし、「部下の本気に火をつける 情熱のリーダーシップ!」と題してご講演いただきました。2日目は、「健康経営に関する関心と知識を高めるための講演および実技体験」として、TJK職員による講演・実技体験を行いました。その様子をレポートします。

講師 講師 香取貴信 氏
[(有)香取感動マネジメント 代表]

 『社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』著者。
 高校1年時に東京ディズニーランドでアルバイトを始める。ヤンキー少年だった香取氏にとって、このアルバイトが運命的な出会いとなり、日々の業務の中で「仕事」、「教育」、「サービス」の本当の意味を学ぶこととなる。
 現在は企業、教育機関、行政、医療機関など、さまざまな業種を対象に講演およびセミナーを実施している。失敗体験なども交えた講演は大人気で、年間250本程度の依頼を受け、全国を飛び回っている。

 

リーダーが忘れてはいけない2つの約束事

 中学、高校と勉強もスポーツもできなかった僕は、俗にいうヤンキーでした。そんな僕が16歳のとき、東京ディズニーランドでアルバイトを始めました。ほんの軽い気持ちで応募したところ、すんなり採用。しかし、入ったはいいけれど、すごく厳しいルールがあって、自分には絶対に無理だなと思い、すぐに辞めるつもりでした。
 ところが、結果的には約8年間勤めることになりました。なぜ、そんなにも長く続けられたのか。その最大の理由は、そこで出会った一緒に働く仲間でした。生まれて初めて「俺、この人みたいになりたい!」と思える人に出会えたのです。

 僕はリーダーの先輩に憧れていて、俺もいつかああいう仕事がしたいな、と思っていました。そして、何年か経ったある日、ついにリーダー候補に選ばれたのです。リーダーを養成するトレーニングの冒頭で、僕らはインストラクターから2つの質問を受けました。それは、「自分の仕事を心から愛していると言えますか?」「どんなことがあっても心の底から愛を持って部下に接することができますか?」というものでした。この2つの質問は強烈に記憶に残っていて、リーダーになってからもことあるごとに頭の片隅で思い出されました。
 当時の未熟だった僕は、部下が言うことを聞かないと、ただ頭ごなしに怒るばかりでした。言うことを聞かないやつがいるとチームがまとまらなくなり、その責任はリーダーの僕にあるから、結果的に僕の評価が悪くなる。それが怖いから、強引にこっちを向かせようとする。でも、そんなやり方をしても、結局なんの解決にもなりません。そのことに自分でも気づき始めたころ、脳裏であのインストラクターがささやくんです。「香取くん、今のは愛を持って接していたのかな?」と。そこでようやく、僕も反省するわけです。
 そんなことをくり返しながら、少しずつ部下との接し方を変えていくうちに、だんだんと信頼関係を築けるようになり、チームもまとまっていきました。自分の仕事を心の底から愛する、どんなことがあっても愛を持って部下に接する、という2つの約束事は、リーダーとしてもっとも大事なことなんだ、とあらためて気づかされたのです。


成長したいなら、尊敬できる人をたくさん持て

 物事を考えるときは、リーダー側で考えるのではなく、部下の立場に立って考えるとよくわかります。たとえば、部下たちは何をもって動くかというと、「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」が重要だということがわかります。
 自分が憧れている大好きな人から言われたことであれば、二つ返事で動きますよね。理由は簡単です。この人に認めてもらいたい、ほめてもらいたいから、言われた以上のことをするわけです。逆もしかりで、尊敬もできない、あまり好きではない人がどんなに言葉巧みに言ったところで、言葉は右から左へ流れてしまいます。面倒くさいし、自分の時間を使うのが惜しいので、言われたことしかやりません。要は、何を言うかではなく、誰が言うか。つまり憧れを持ってもらえるような人になることが大事なのです。

 僕は、憧れていた先輩に、
「俺も先輩みたいにみんなに憧れを持ってもらえるようなリーダーになりたいんですけど、どうしたらいいですか?」
と尋ねました。すると、
「だったら、お前自身が尊敬できる人、憧れる人をたくさん持て」
と言われました。
「尊敬できる人をたくさん持っている人というのは、相手のいいところを素直に認められる人だ。ということは、いろいろな人のいいところを真似できる。それをくり返すうちに、その人自身がどんどん成長していく。だから、尊敬されたいのであれば、尊敬できる人をたくさん持つんだよ。そして、相手のいいところをどんどん真似するんだ。いいか、大事なのは“TTP”だぞ。徹底的にクる!」
 なるほど、と思った僕は、先輩に言われたとおりにやってみようと思いました。ところが、尊敬できる人や憧れるような人というのはそうそう簡単に出会えるものではありません。そこでまた、先輩に相談しました。すると、先輩の答えはこうでした。
「そうか。じゃ、尊敬できる人に出会いたい、出会いたい、ってひたすら思っておけ。口にも出して言っておけ」
 思ったり言ったりしてるだけで、出会えるようになるの?と、最初は疑問でした。でも、人間というのは見たいものを見て、聞きたい音を聞く、という習性があり、意識をどこに置くかによって見えてくるものが違ってくるというのです。尊敬できる人、憧れるような人に出会いたい、というアンテナを立てることで、意識がその方向へ向かい、そういう人に出会えるようになる、というわけです。


年下でも、すごいやつはすごい

 それ以来、僕は出会いたい、出会いたいとずっと思い続け、口にも出して言っていました。そうしたら、本当に出会えたのです。それが僕の場合、ケンタロウという当時18歳の部下でした。
 ある朝、偶然、トイレでケンタロウと会ったのですが、そこで彼がとった行動に僕は驚かされました。彼は、自分の手を拭いたハンカチで、手洗い場の周りに飛んだ水しぶきをきれいに拭いていたんです。それを見た瞬間、「ついに現れた! 俺の尊敬できる人が!」と思いました。「お前、すげえな!」としきりに驚いている僕を見て、ケンタロウは不思議そうな顔をしていました。おそらく彼にとっては、それが習慣なのでしょう。
 そのとき、僕は思いました。年下だろうが、年上だろうが、そんなものは関係ない。すごいやつはすごいんだな、と。それを素直に認めて自分も実践できれば、少しずつ成長する。そういう成長を重ねていけば、「俺もあんな人になりたい」と思ってもらえるようになれるかもしれない、そう思ったのです。


“成幸者”の共通点は、元気で明るくて前向き

 もう1つ、リーダーにとって大事なのは「常に元気で明るく前向きであること」です。以前の僕は、何か思いどおりにならないと、「もう最悪! 最低!」といつも口に出して言っていました。そんな僕の態度を見かねて、先輩はこう言いました。
「香取、そういうことを軽はずみに言うな。リーダーのお前が『最悪じゃん!』って叫んだら、チームのみんなは凍りつくだろ? お前にはそれだけの影響力があるんだから」
 それでも納得できない僕は、「じゃ、どうしたらいいんですか?」と尋ねました。

先輩「よし、じゃ、これから先は、全部反対のことを言うようにしろ」
香取「どういうことですか?」
先輩「頭の中では『最悪だ!』と思っててもいいから、チームのみんなのために吐き出す言葉を変えろ。最悪は『最高!』、大ピンチは『大チャンス!』、疲れたときは『充実した!』、忙しいときは『盛り上がってきたー!』みたいな。こんなふうに前向きな言葉に変えていったら、チームのみんなも明るくなるじゃないか」
香取「えーっ、そんなもんっスか?」
先輩「周りの大人をよく見てみろ。成功してる人とそうでない人、幸せに生きてる人とそうでない人は何が違うか。みんな吐き出す言葉が違う。その人の姿勢が違う、表情が違う。すべてにおいて真逆なんだよ」

 僕はそれから20年かけて、いろいろな“成幸者”の人に会いに行きました。いわゆる“成功者”ではなく、本当に人生を楽しんでいる、幸せに生きている“成幸者”の人たちです。すると、彼らに共通していたのは、みんな元気で明るくて前向きだ、ということでした。僕は勘違いしていました。何かがうまくいったから元気で明るくて前向きなんだ、とずっと思っていました。ところが、そうではなくて、“成幸者”の人たちは、元から元気で、明るくて、前向きなんです。だから成功を呼び込むのです。


周りを見れば、自分が何者かがわかる

 以前の僕は、うまくいかないこと、思いどおりにならないことはすべて誰かのせいにしていました。そんな僕に対して、お好み焼きの一大チェーン店「千房」の中井政嗣社長はこうおっしゃいました。

中井社長「夜、光をつけるとそこに虫が集まるでしょ。実は、人間も一緒なんだよ。自分が光を放っている。だから、自分が何者かを知りたいときには、自分の周りに集まってきた虫を見るとよくわかるんだ。たとえば、きれいな花にはどんな虫が集まる?」
香取「きれいな蝶々が集まりますね」
中井社長「そうだね。じゃ、君の場合はどう? 周りにハエばっかり飛んでないか? ハエが集まるのは何ですか?」
香取「うんこですね……」
中井社長「これでわかったかな、君が何者か。これはね、物事の道理なの。きれいな花にはきれいな蝶々が集まる。でも、うんこにはハエしか集まらないの。どんなにハエを追っ払ったところで、自分がうんこだったらハエはまた飛んでくるよ」

 この人すごいな、と思いましたね。確かに、成功した人たちをあらためて見てみると、僕とは真逆なんです。彼らは、うまくいかないこと、思いどおりにならないことは、全部自分のせい。自分のせいとしてとらえて、自分を変えようとするんです。そして、うまくいったことや思いどおりになったことは、すべて誰かのおかげとしてとらえるんです。こういう考え方をしたほうが人間豊かになるし、部下だってこういう人についていきたいと思うのではないでしょうか。
 そしてやはり、言葉が脳みそに与える影響はものすごく大きいようです。自分の耳の一番近くで言葉をしゃべるのは、自分の口です。何気なく言ったひと言が、自分の耳を通して脳みそにインプットされ、それによって潜在意識が変わっていきます。だからこそ、リーダーである以上、プラスな言葉、前向きな言葉を発することが大事なのです。


できるかどうかではなく、やるかやらないか

 リーダーとしてチームを引っ張っていくには、スイッチが入っているということも大事なポイントになります。そのための方法を1つ、ご紹介したいと思います。僕はあるとき、師匠である福島正伸先生から次のようなことを言われました。

福島「香取くん、家や会社を出るとき、『行ってきます』って言ってるよね? じゃ、“何のために”行ってきますか言ってる?」
香取「いや、普通に『行ってきます』って言ってます」
福島「それじゃダメだ。物事にはすべて、何のためにっていう理由があるだろう。ペットボトルは飲み物を飲むために、時計は時間を見るためにある。自分が会社へ行くのにも理由があるでしょ。その理由を家族や会社の仲間にきちんと言ってから出かけるんだ」
香取「何のために、って言われても……」
福島「よし、じゃ僕が考えてあげよう。今日から家や会社を出るとき、元気よくこう言いなさい。『日本を元気にするために行ってきまーす!』って」

 僕はこれを8年前からずっと続けています。これ、みなさんもぜひ、やってみてください。僕は毎朝、3人の子どもたちが見送ってくれるときに、「お父ちゃんな、今日も日本を元気にするために行ってくるぞー!」と言っています。すると、「おー、父ちゃんがんばれー!」と応援してくれて、そうすると僕の中でスイッチが入るんです。
 もちろん、自分一人で日本を元気にできるかというと、それは難しいというのはわかっています。でも、すべてはやってみないとわからない。できるかどうかは、あくまでも今考えている未来の予測。要は、できるかどうかじゃなくて、やるかやらないか、なのです。今日1日、僕が元気でいたら、僕と出会った人がちょっと元気になったり、笑顔になったりするかもしれない。確かに微力ではあるけれど、無力ではありません。それを毎日続けていたら、いずれ日本が元気になるかもしれない。こんなふうにいつも元気で明るくて前向きなリーダーだったら、みんなから憧れてもらえるんじゃないかな、と思うわけです。

 「自分ができることは他人もできる」と思ってはいけません。思いどおりになることを前提にしていると、思いどおりにならないことはすべてマイナスになってしまう。そうではなくて、思いどおりにならないことをゼロベースにする。そうすれば、思いどおりになったことがプラスになるんです。
 リーダーシップのカギを握るのは、いかに憧れてもらえる存在になれるか。そのために必要なのが、自分の仕事を心から愛してます!と言えるくらいにやりきること。そして、どんなときも愛を持って部下に接すること。言い換えれば、その部下の未来を考えてジャッジするということです。
 僕は、そんなリーダーに育ててもらったおかげで、変わることができました。みなさんもご自身のお仕事にスイッチを入れていただいて、ぜひ一緒に日本を元気にしていきましょう。

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