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第109回健康教室 明日から役立つ心の健康管理のツボ

平成26年2月28日(金)、TJKプラザにおいて、第110回健康教室を開催しました。今回は、『体脂肪計タニタの社員食堂』で有名な谷田大輔氏を講師にお迎えし、タニタの取り組みや経営マインドのほか、個人から企業、そして社会に至るまで、幅広い視点から健康管理の重要性についてお話しいただきました。その様子をレポートします。

講師 谷田 大輔 氏●谷田 大輔 氏(株式会社 健康総合研究所 最高顧問)

 立教大学経済学部卒業後、谷田製作所(現:株式会社タニタ)に入社。取締役開発部長等の要職を経て、株式会社タニタ代表取締役社長に就任。
 世界初の家庭用体脂肪計・対組成計を開発・販売し、赤字状態だった同社を、ヘルスメーター売上世界No.1企業へと成長させた。在任中は海外主要国にて会社設立、代表も経験。タニタ総合研究所の所長も務めた。

 

体重が増えると寿命は短くなる

 健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間をいいます。厚生労働省の発表によると、男性は70歳、女性は73歳です。一方、平均寿命は、男性が79.64歳、女性が86.39歳なので、男性は9年間、女性は13年間、なんらかのハンデを負って生きることになります。健康寿命をできるだけ伸ばし、ハンデを負う期間を少しでも短くするためには、早い時期から健康管理に取り組むことが大切です。
 人類の歴史は、飢餓の歴史のうえに成り立っています。つまり、今こうして生きているということは、少ない食べ物でも生きながらえることのできる遺伝子を持っているということになります。
 寿命と体重との関係性をみるために、「年体重」というものを考えました。わかりやすくするために、平均寿命を100歳、平均体重を50sとして計算すると、

100(歳)×50(s)=5000(年体重)

となります。つまり、人は生きている間に、5000年体重分の負荷をかけて生きているということになります。これを逆算すると、体重ごとに寿命を割り出すことができます。
 体重が60sの人と70sの人を例に挙げると、

5000(年体重)÷60(s)=83.3(歳)
5000(年体重)÷70(s)=71.4(歳)

となり、体重がふえるほど、寿命が短くなることがわかります。車にたとえるなら、中古車に積載オーバーで走り続けている状態といえます。
 肥満の主な原因は生活習慣であり、生活習慣は食事と運動の両輪でなっています。1年間に食べたもので、体のおよそ90%ができるといわれています。いかに3食の食事が大事かを認識し、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
 同時に、適度な運動を行うことも大切です。運動には、肥満を解消するだけでなく、見た目も若々しくなるという効果が期待できます。ぜひ実践していただきたいのが、歩くこと。もっとも効率がよく、安全な運動として、おすすめです。
 肥満を予防することも大事ですが、逆にやせ過ぎも良くありません。やせ過ぎると免疫力が落ち、健康を維持しづらくなると考えられています。ふだんはバランスの良い食事を心がけつつ、たまの会食では食べることを楽しみ、数日のうちに調整をする。そういうメリハリも大切だと思います。

赤字から脱却するために事業を一本化

 健康を管理するということは、個人だけでなく、企業にも当てはめることができます。赤字の企業は、けっして健康とはいえません。私が社長に就任した当時のタニタは、まさに不健康そのもの、赤字状態でした。
 経営を立て直すうえで、一貫生産工場を作ることがもっとも有効な合理化であると考え、工場を東京から秋田に移転しました。しかし、100人いた社員は一人も秋田へは移らず、全員が退社。そのため、新たに新入社員を採用し、秋田工場をスタートさせました。
 タニタはもともとアッセンブリの会社で、ライター、トースター、体重計という3つの事業部で運営していました。そのなかで、利益が出ているのは体重計だけだったため、ライター事業部は5年、トースターを作っていた電気事業部は10年かけて撤退し、体重計一本に絞りました。
 そして、体重計をより深めようということで、乳幼児から高齢者までを対象とする「生涯体重」、病院や学校、ホテル、エステなどで使う「業務用」、食べて運動した結果が見られる「体組成計」という3つのカテゴリーで、商品開発を進めていきました。

「コンセプトの変革」と「オンリーワンの開発」が成功へのカギ

 事業を成功させるうえで非常に重要なのが「コンセプトを変える」ということです。そのことに気づくきっかけとなったのが、アメリカでの体験です。
 マーケット拡大を視野に入れつつ、アメリカに3カ月ほど滞在したときのことです。アメリカの交通産業を見ていると、人や物がヨーロッパからアメリカに来るときは船会社がその役割を担い、その後は、鉄道会社、自動車産業へと役割は移り変わっていきます。これがもし、船会社が「人と貨物の移動」を事業コンセプトにしていたら、船会社が鉄道事業や自動車事業まで請け負い、事業を拡大させることも可能なわけです。
 企業にとってコンセプトがいかに大事か、ということに気づき、タニタのコンセプトも見直しを図りました。そして、従来の「体重計ビジネス」から「体重ビジネス」へと移行することを決意したのです。
 体重の多い人=肥満というのは間違いで、脂肪の多い人が肥満である、ということもそのとき初めて知りました。そして開発されたのが、体脂肪計です。体重とは、単に体の重さを計っているのではなく、健康のバロメーターになるものだ、という考え方を原点に、「健康を計る」という方向に視点を向けたことで、血圧、体温、尿、睡眠と、多彩な計測器が誕生しました。コンセプトは、「体重ビジネス」から「健康ビジネス」へとさらなる進化を遂げたというわけです。
 コンセプトを変えることと並んで重要なのが、「オンリーワン」のものを開発することです。世の中にないもの、世界で初めての新しい製品を作れば、何を作っても世界一になることができます。タニタの体脂肪計も、こうして世界一の座を勝ち取ったのです。
 オンリーワンの製品は、マスコミが積極的に取り上げてくれるので宣伝効果も高く、販路も構築しやすいというメリットがあります。消費者への普及が拡大すると、利益は増大し、さらにマスコミに取り上げられるようになる、という好循環も生まれるのです。

「タニタの社員食堂」はこうして誕生した

  タニタの社員食堂も、「体重ビジネス」、さらには「健康ビジネス」へとコンセプトを変えたことによって生まれました。では、どのような経緯で社員食堂が誕生したのかについてお話ししましょう。
 以前のタニタは、体重計の精度や品質を高めるための技術は持っているものの、体重に関しての知識はありませんでした。そこで、工場跡地に「ベストウエイトセンター」という施設を作りました。これは、体重管理のなかでもとくに食事に重点を置き、栄養指導や調理教室などを行い、さらには作ったものを食べていただくというユニークな施設です。この取り組みが知られるにつれ、近隣のプールや体育館でも栄養士を雇って指導するところが次第にふえていき、当社のセンターの会員は減少しました。そのため、センターは閉鎖することにしましたが、スタッフを有効に活用したいと思い、健康食のレストランを発案しました。ところが、地元の方々は「なぜ、メーカーがレストランまでやるんだ」と強い抵抗を示されました。たしかに、地元でレストランを経営されている方にとっては、けっして喜ばしい話ではありません。そこで、自社の社員に向けて食事を提供しようということになり、社員食堂が誕生したのです。
 スタッフには、将来的になんらかの形でビジネスにも関わってもらいたいと考え、メニューはできるだけ同じものを作らないでほしい、という要望を出しました。そして実際に、1年間すべて違うメニューを考案してくれたおかげで、料理のコンテンツが広がり、それがレシピ本『体脂肪計タニタの社員食堂』という形になったのです。
 メニューは、内臓を作るうえで欠かすことのできないたんぱく質をしっかりとれるような構成になっています。そして、気持ち的にも余裕を持って減量できるよう、食後のデザートもつけて、なおかつトータルで500kcal以内におさめるというのが特徴です。

日本一の長寿村で実証された食事と運動の大切さ

 生きていくうえで健康であるに越したことはありませんが、健康が最終目標ではありません。家庭が円満で、趣味や夢を追求できる、そんな生き方こそが豊かな人生と呼べるのではないかと思います。
 人間は、60兆もの細胞でできているといわれています。その細胞の両端には「テロメア」という尻尾のようなものがあり、このテロメアが長い人ほど長寿なのだそうです。
 現在、日本でもっとも長寿なのは、長野県の高山村です。この高山村に住む高齢者数名のテロメアの長さを計り、一番長かった男性と女性がどのような暮らし方をしているかを調べるという調査が行われました。その結果、二人はブドウ園やリンゴ園をやっていて、その世話で日常的に体を動かしていました。食事は、昔ながらの和食が中心で、ブドウも食べる機会が多いとのこと。ブドウの皮と実の間には、抗酸化物質として知られるポリフェノールが豊富に含まれているので、これも長寿の一因となっていることが考えられます。このことからも、日々の食事や運動がいかに大切かということがよくわかります。

職場復帰可能の判断はどこでするのか?

 ここで、私自身が日頃、どのように健康維持に取り組んでいるかをお話しします。
 毎朝欠かさず行っているのが、体と会話をすることです。お腹に4本指をあて、「の」の字を描くようにしながら、指圧をするのです。位置を少しずつずらしながら押していくと、その日によって痛む場所が違います。すべての内臓に触れるようなイメージで指圧することで、その日の体の状態を確認するのです。その後、目、鼻、耳も触り、毛細血管を刺激するために、手の指先と足先をマッサージします。
 食事は、3食バランスよくとることを心がけてはいますが、ときに食べすぎることもありますし、お酒もいただきます。
 年齢を重ねると、体にもいろいろ変化が現れるので、気づいたら何らかの対処をするようにしています。尿が細くなって出にくくなったときには、尿道をマッサージすることによって改善しました。また、40代のときから5年に一度のペースで、腸洗浄も行なっています。また、お酒を飲むときには「片仔廣(へんしこう)」という漢方薬を飲むと、調子がいいようです。
 過去には脳動脈瘤が見つかり、3年目に手術をして、無事に成功しました。そんな経緯もあって早めにリタイアし、今は少しでも世の中に貢献できるよう努めています。

復帰後の職場での配慮について

 ここからは、社会や国の健康のために、私なりの提言をお話ししたいと思います。
 まず、税金について。現在、国家予算が99兆円であるのに対して、税収はわずか43兆円という、非常に不健康な状態です。そこで、私が提案したいのは、フラットタックスです。浅く、広く、例外なくとる、という方法です。
 所得税は、現行は7.2兆円ですが、10%にすれば18.7兆円になります。法人税は、今は利益に対してとっていますが、売り上げの1%をとるようにすれば、現行の9.2兆円から13.5兆円までふやせます。
 酒税とタバコ税は、現行のままで9.3兆円。そして、消費税は15%まで引き上げます。観光立国、スポーツ立国、研究立国など、さまざまな働きかけで世界中の人に日本へ来てもらえば、飲食、宿泊、おみやげなどすべてが消費税の対象になります。そういう形で、消費税は他国の人にも負担してもらうようにするのがよいと思います。
 しかし、これらを全部足しても70.5兆円なので、まだ足りません。
 今、法人は175万社が赤字になっていますが、そのなかで倒産しているのは、一昨年で1万2000社です。倒産はしないが、利益は出さないようにしよう、というのが今の法人の考え方の主流になっているのです。そうではなく、会計士や税理士に知恵を出してもらい、本業が伸びるところへもっとエネルギーを使うべきです。そして、宗教法人や特殊法人など、今は払っていないところからも利益の1%をとらせてもらうようにするとよいのではないかと思います。

リハビリ勤務をする際の注意点

 税収を上げる一方で、金利や医療費などの削減を検討することも必要です。
 そして、単年度会計では、期末に不要な工事を行うなど、どうしても無駄な出費が出ます。中長期会計にして、複数年度で資金を大きく使うことで、大きな事業もできるようになると思います。
 また、相続税は、みなさんもご存知のとおり、これは重加算税です。今の税制のあり方では、3代続くとお金持ちがいなくなってしまいます。今後必要なのは、お金持ちを大量生産すること。そういう感覚で物事をやっていかなければいけないのではないか、というのが私の考えです。豊かな国民を作って、そこから溢れてくる税金をとらせていただく、というのがみなさんにとって一番幸せなのではないかと思います。
 今は、60歳以上の方が60%の資産を持っていて、相続を受け取る側も60歳以上、というのが現状です。老後を心配し、お金を使わないので、社会は活性化しない。不動産も、95%に税金をかけるので、持っている人のほとんどが売らないという状況です。
 この売買する両者に各3%ずつ、取引税という形でかければ、もっと土地の再開発もスムーズに進むのではないかと思います。そして、売ったお金で田舎に少し広い土地を買えば、浮いたお金を老後の資金に充てることもできます。
 次に、負債について。現在、負債は1000兆円を超えています。これを返済するための方法として提案したいのが、過去に投資した額を資本金にする、という考え方です。資本金にすることで、金利も返済も発生しないというメリットがあります。
 たとえば、10億投資した会社を、オークションで1億で落札する。すると、インフラが揃っている状態で経営するわけですから、利益が出て、出資した企業は配当をすぐに受け取れます。残りの9億は、国が株主なので、国も配当金を受け取り、返済に充てることができます。これを30〜50年積み立てていけば、最後は負債もなくなるというわけです。こうすれば、非常に健康な社会になるのではないでしょうか。

元気なときよりも能力が低下しているように感じるのはなぜか?

 年金は今、9兆円使われています。従業員と同額を企業が納めているので、自分で納めた額の倍額を受け取れることになります。
 寿命が延びている今、定年についても考え直す必要があるように思います。定年を過ぎても、65〜75歳ぐらいまでの間は労働貯蓄の期間と考え、仕事ができる人は仕事をするというのも一つの考え方です。乳幼児の育児、教育、文化の伝承、さまざまな形で関わることが可能かと思います。
 また、生涯安心して暮らせる社会にするために、教育と医療の無料化を提案したいと思います。現在、学校は6万校、病院は9200施設あり、教師は110万人、医師は16万人います。今は、病院も製薬会社も医師も利益を出している状態で、35兆、36兆という利益の集団になっています。たとえば、10億の機械を買ってしまえば、あとの維持費は大したことはないので、そのような形で医療費を無料化するのがよいのではないかと思います。
 そして、みなさんが働ける社会にするために、3つの方法を提案したいと思います。まず、1つめがワークシェアリングです。8時間社会から、2交代制の16時間社会にすれば、雇用は50%増になります。週休3日、さらに8時間労働を6時間労働にすれば、雇用も20〜25%ふやすことができます。
 2つめは、コンセプトを変えること。住宅の水、エネルギー、空調、ゴミなどをすべて循環型にすれば、そういう技術への投資が生まれます。たとえば自動車も、道路の上だけでなく水上を走れるようにすれば、自動車産業が大きく成長するきっかけになります。
 3つめは、さまざまな開発に取り組むこと。エネルギー、環境、海洋、健康、食料、さまざまな分野で開発に取り組み、そこに技術を投入していく。すると、そこから出た産物は、また新たなビジネスとしていろいろな形で成り立っていくことになると思います。

再発する確率は?

 そして最後に、世界の健康について。未だ、ODAが実施されていますが、これからは他国の援助ではなく、地球救済へ目を向けるべきではないかと思います。日本の徴税額の10%を「地球税」と定め、地球のために活用するのです。
 環境保全、生物共存、絶滅防止、緑化、砂漠化防止、CO2削減など、使い道はいくらでもあります。これを日本が最初に始め、日本が主導となって地球を良くしていくことができたら、というのが私の提案です。
 みなさまが健康で豊かな人生を送り、そして企業、社会、世界も健康であり続けてくれることを願ってやみません。

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